ゾンビの倒し方
『ゾンビの倒し方の検討ですね。必要な物の洗い出しや効率的な方法を出していきましょう』
「仮想シナリオの中で出ていた、さすまたって有効なのですか?」
『ゾンビに近づくのは非常に危険です。世間一般的なゾンビもので、ゾンビになる原因は、噛まれたり、返り血とかを浴びたり、ゾンビが持つウイルス?っぽい何かに感染する事によって起きています。
つまり対象者に近づかない事が重要だと思います。その点、さすまたであれば、一定の距離をとれるので非常に有効だと思います。なので相手を近づけさせない工夫をしましょう』
「さっさすまただと、お店の防犯グッズだと思いますが、家庭には置かないですよね? 家にある物でさすまたの代わりになる物を探したらどうでしょうか?
たっ例えば、ハシゴとか、足が4つ着いた椅子とか、どうでしょうか」
「なるほど。椅子なら家にもありそうだし、ハシゴも家によってはありそうだね。
でも、近づけさせない事は有効でしょうけど、どうやって倒すのですか課長?」
『何も一対一でやり合う必要性は無いでしょう。それにさすまた一本では効果が薄く出来れば二本、またはそれ以上の本数があった方が確かです。
そうして相手の動きを封じている間に、第三者が攻撃すれば良いと思います。昔から言うでしょ「戦いは数だよ兄貴!」ってね』
「そうえいば、祖父からもそんな話を聞いたことがあります。戦争なんて行ってないと思うんですけど、それなのに何でそんな事を言っていたのかよく分かりませんでしたが。
じゃあもしかして、塩が大事ってのも関係しますか?」
日笠君、大事だけど、それはさすがにゾンビ討伐とは関係ないぞ。
「あっあの、防犯グッズとしてさすまたを置いている店は、店舗の入り口とかにさすまたを設置して貰えば、ゾンビ発生時に活用出来るんじゃないでしょうか?」
『普段の事を考えるとそれは駄目ですね。強盗が店に入った際に、直ぐにさすまたを奪い、店側が不利になってしまいます。さすまたは目に見える場所に置かない、が鉄則です』
「じゃっじゃあ、さすまたを置いているか、いないかは、店の中で捜索しないと分からないという事でしょうか? それだと有事の際には困りそうですね」
『えーと、さすまたがあると相手は警戒するので、置いてある事をアピールするのは重要です。なので、ステッカーなどで店舗の入り口に「さすまたあります、さすまた備えてます」と張り出すことで犯罪の防止効果がでます』
「つっつまり、配備している店にはステッカーを張りだして貰えば、有事の時に発見しやすいってことですね?」
『それと、さすまたにも種類が複数あります。例えばU字の中に少しだけ出っ張りを持たせたものだと、犯人が押し返すときに痛いので力を入れて押し返すことが出来ません。痛覚があるゾンビの場合には有効な手段です。
また、さすまたの欠点の一つに、対象者から離れられないという点がありますが、相手を拘束した部分が分離されて、離れることが出来る製品もあります。これなら、少ない人数でも拘束出来ますね』
「相手に楽に近づけさせないなら、障害物競争の網とか、そいうのも役立ちそうですよね。まあ手に入らないですけど。
んー、じゃあ、2階、2階から攻撃したらどうでしょうか。相手から見えるところに出て、寄ってくるところを上から攻撃するなら優位に立てますよね」
「だっだとしたら、田んぼとか沼とかそういうところを挟んで対峙すれば優位に立てるんじゃないでしょうか?」
『なるほど、土と水があれば、有利な場所を作り出すことが可能かも知れませんね。お二人ともいい案だと思いますが、死体が積み重なった場合、死体を足場にして移動してくる可能性がありますね。
同じ場所で戦う場合、死体の処理も考えた方が良さそうですね。それに死体が溜まるとそこから疫病とか発生しそうですし』
「では、川とか橋とかで戦うのはどうでしょうか? 死体は川に流してしまうので遠くに行きますし、高いところから下に捨てれば、とりあえずは近くからは排除できますし」
「じゃっじゃあ、一本橋のようなものを用意して、その先に待ち構えていれば、ゾンビがこちらに近づいてくる間にバランスを崩して勝手に落下して死ぬし、仮に近づいてきても、物干し竿のような物でつっつくだけでも相手を落とせそうですよね」
『川に流すのは、ちょっと控えた方が良いかも知れません。都心の川の流れって激しくないですよね? 下流で溜まったり、水分が含まれるのでより一層酷いことになりそうな気がします。
一本橋も悪くはないですが、ゾンビがある程度高いところまで昇ってくる必要があるのと、待ち構える側も、一本橋の先に籠城できる場所が必要でしょうから』
「あの、人が待っている必要性は無いのでは? 例えば一本橋の先にはマネキンを置いておくとか、食料あるいは死体を置いておくとかでも」
『ゾンビを引き付ける点は解決出来たとして、ある程度の高さの場所に一本橋を置いて、そこに向かって登ってくるように仕向ける必要がありますが良い場所がありますか?』
「こっ高速道路! 首都高とかはいかがでしょうか? 一般道との出入り口は坂になっていますし、上りっ切ったすぐ先に橋を設置出来れば、多くのゾンビを自動で倒せる、あるいは弱体化出来る仕組みが作れるんじゃないですか?
防音壁があるから、上がりきるよりも、上がっている最中のところに設置した方が良いかも知れないです」
『首都高! 良いですね。それにわざわざ一本橋を作らなくても、行先を示す看板の柱があったりするから、その柱の先に餌を置いておけば、そのまま活用できるかも知れないですね。そうなると立体交差もありですね』
「でも、視覚が維持されているゾンビ限定ですよね? 目が見えないゾンビだと駄目ですよね? 嗅覚なんてたかが知れているだろうし。ゾンビの種類毎に対策が分かれますよね」
『日笠さん、目が見えないゾンビの話が出ましたが、これだけは言っておきたい事があります。聴覚だけで人の場所を特定しすぎです。絶対納得できません。うーんそうだな。
例えば、目が見えない音は聞こえるゾンビが居ます。あなたは学生で2階から1階に降りました。昇降口から外に出たいがゾンビが沢山待ち構えています。あなたの手元には、ボールペン、スマホ、財布、上履き位しかありません。さてどうしますか? そしてその結果どうなりますか?』
「えーと私なら、ボールペンか上履きを逃げる方向とは別に投げてゾンビを違う方向に引き付けます」
『はいー! それ、それです! 今まで視力があった人が、急にゾンビになったからといって、音だけで正確にその場所が分かりますか? あり得ないですよね! しかもですよ、段差があったり、下駄箱があったりして、ぶつかったり、転んだりしますよね?
そしたらですよ、音が出るじゃないですか! あちこちで音だらけで、ゾンビがあっちにふらふら、こっちにふらふら、最終的にもう収拾が付かない状況になりますよね?ね?
更にですよ! ゾンビどうしがぶつかりますよね? そしたら何でお互い食べようとしないんですかと! あれでしょ、死に立てホヤホヤでしょ、腐っても無いんだからさ、どうして互いがゾンビだって分かるんだって。おかしいよね』
ムフームフー。
「課長、少し落ち着いてください。フィクションですから」
『それ、それも。フィクションだったら何でも良い訳じゃないですよね。逆にフィクションだからこそ何らかのリアリティとかを出すべきじゃないの?
それにさ、そういう時に限ってさ、バケツを蹴っ飛ばしたりしてさ、てか気をつけろよ! あるいはさ、スマホが鳴ったりしてさ、電源きっとけよ!! 死にたいのかよ!』
ムフームフー。
「ひっ日笠さん、それだと逆効果です。課長のお考えは良く分かりました。
しかし、課長は理論に偏り過ぎています。実際にそのような事が起きているのだとしたら、原因があるはずです。その原因も考えずに否定だけするのは良くないと思います」
うむ、ちょっと興奮しすぎたな、しかし納得できないものは納得できない。「実際じゃねーよ」日笠君が小さな声で突っ込んでるが、ちょっとスルーしておく。
『原因が分かれば納得が出来るかも知れませんが、ただね、いきなり目が見えなくなって、しかも知能が下がっているのにも関わらず、どこにもぶつからず、ゾンビどうしで戦わず、っていうのがどうにもね。コウモリでも無いのに、音波で避けるなんてことは出来ないでしょ』
「いっいいえ。そのような事が出来るのだから、逆に音波の反射で障害物をさけているのではないでしょうか?」
『いやでも、コウモリの音波確認の仕組みを理解していませんが、人間に音波をだしたり、その反射を確認する手段は無いのでは?』
「うーん。あの、音波は口から出しているのではないですか? あー、あー、みたいな感じでゾンビが声を出しているじゃありませんか。 あの反射で分かるのではないですか?」
マジカ、あの声にはそんな意味があったのか。
『いやでも、ぶつからないとしてだ。じゃあどうしてゾンビ達は互いに攻撃しないのですか?』
「そっそれは、あの声には敵味方を識別する符号があるのです、それが感じ取れるのでゾンビは互いを攻撃しないのです」
『だって、あいつら低能じゃないですか。そんなに高等なことが出来るとは思えません』
「じゃっじゃあ、音波での周囲探知と敵味方識別に多くのリソースを割くので、逆にその他の事にリソースを割くことが出来ず、結果として馬鹿だったりすのではないでしょうか」
まさか、そんな、山田さんは凄いな、その発想は無かった。
『目が見えないのにぶつからずに移動できたり、ゾンビどうしで攻撃しないのは、アーアー言ってその反射音を確認したり、敵味方識別が行えるためだと。そして馬鹿なのはリソースを上述の事に割いているから結果的に馬鹿だと……。ありえるかも知れませんね』
「ねーよ!」
日笠君、さみしいのかな仲間に入れなくて。
さすまたは、他者から見える場所に置かない。暴漢や強盗から逃げるために使う物だと思って下さい。
犯人を捕らえようとか考えない。危険を回避するための時間稼ぎの道具です。
安全に逃げられるなら立ち向かわない。
それと本文の中にも触れましたが、さすまたにも種類があります。
お店や学校などで暴漢対策で導入する際は、調べてからにしましょう。




