表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらゾンビ課。ただいま税金無駄使い中  作者: ぐわじん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/28

優先度設定

 今まで出てきた対策候補案をプロジェクターに映しながら、資料を修正する。それぞれの対策候補案を分類別に分けると、情報9個、避難6個、討伐方法2個、感染拡大防止2個、その他1個となった。


「こうして並べてみると、情報が大事ってことですね」


『そうですね。数だけで見ると情報、避難、感染拡大防止、討伐方法って感じですね。じゃあ、優先度や、他の機関にお願いすべきものが無いか、区分してみましょう』



 他部署が主体的に実施すべき事は早めに開始した方が良いので、優先度を高めに。時間が掛かりそうなものも優先度を高めに、似たようなものをはまとめて、様々な検討の結果、最終的に以下の優先度で取り組むことにした。



◆他の機関に任せるものの優先度

優先度:課題名 :課題内容詳細

1:未知の病気研究機関 :未知の病気に対して原因究明や対策を早急に


2:物資の備蓄 :食料や水、薬など必要な物を備蓄しておく(既に別部署で実施中)


3:自動ブレーキ解除 :自動ブレーキを任意に解除出来るように


4:フェイクニュース対策 :嘘の情報に影響されないように



「フェイクニュースは、一番最後なのは意外ですよね」


『そうですね。実現可能な対策を優先しないと、人と期間、予算が限られていますから。

 あと、フェイクニュースって名称が長いから略した方が良いですね。フスにしますか?』


「課長は相変わらずのセンスですね。フェイは含んだ方が良さそうですけど、フェイク、フェイニュ、フェイス、既存の言葉と被らないとなると、フェイニュですかね?」


「あっあの、フェニュはどうでしょうか? こっちの方が短いですし言いやすそうです」

 流石山田さん、素晴らしいセンスです。フェニュ決定です。



◆三課で検討するものの優先度

優先度:課題名 :課題内容詳細

1:感染の封じ込め :感染が拡大しないために封じ込める方法


2:素早く正確な政府の広報 :早く正しく政府が状況を伝える方法


3:メディアの活用 :早く正しく国民に情報が伝わる、2とも関連


4:ゾンビ情報がフェニュ(フェイクニュース)と扱われない方法 :課題名と同じ


5:ゾンビ情報共有ツール :目撃、討伐情報を直ぐに楽に皆で共有


6:感染圏内の移動者の避難 :避難方法、怪我人の受け入れ、ルート選択等


7:避難情報の共有 :誰が何処に避難し、不足物資、怪我人の状況を共有


8:ゾンビの倒し方 :効率的な倒し方、有効な道具など


9:懸賞金対応 ;ゾンビ討伐に懸賞金を出すことによる、懸念事項対応



◆検討しない

女性の身の守り方 :女性はどうやって身を守るべきか


心のケア :ゾンビ被害を受け方や倒した方への心理的なフォロー



「あっあのあのあの、検討しないって……。それも大事だったのでは?」

 山田さんが、慌てながら質問してくる。


『重要性は理解していますが、まずは多くの人が助かる事を優先します。生きているうえで辛い事は、この際無視します。

 それに女性の身を守る方法は非常に難しいです。道徳の範疇だと思いますが子供の頃から根気よく実施しないとなりませんし、手本となる今の大人の道徳もたかが知れていますし、それにいくら国民の教育が行き届いても、海外からの旅行者の方までは対応が無理ですし。


 心のケアについては、心理学に関する話だと思いますが、症状なんて個人毎に差異があるでしょうし、今の時点でどうにかなるとは思えません』

 2人の視線が気になりますが、出来る仕事には限度があるので仕方ないです。おや、室長からチャットが来ている。数少ない本課の存在理由を知っている一人だ。


『今、パンデミック対策室の室長から現状の仕事の状況を確認したいと依頼が来ました』


「おっ、では今の対策候補案を基に、日程や担当などを割り振ったり、資料を更新しますか? いつまでに資料を修正すればいいですか?」

 日笠君が乗り気になっている。見栄えの良い資料を作成するのは仕事した気になるからね。


『変えるなら2分でお願いします。たまたまこの建屋の別フロアで業務予定があって、急遽10分後に打ち合わせする事になりました。なのでこのメモ書き一枚で行ってきます』

 日笠君残念でした。今度は、山田さんからだ。


「あっ、あのこんなメモ程度の内容で報告したら、全然検討が足りてないというか、マイナス的なイメージで捉えられたりしないでしょうか? 有効な対策が含まれていても、結果的に意見が通りにくくなるとか。だとしたら、資料が作成出来る日時まで報告を延期したらどうでしょうか?」


『逆ですよ、これが1週間後に報告しろ、と言われたのなら凝った資料を作成する必要がありますが、元々報告する予定が無かったのに、急に提出しろと言われたのですから、チープでも良いのです。

 相手の好みや癖、求めている内容も分かっていないのですし、出たとこ勝負ですね』


             :

             :


 一応一定の理解は得たけれども、今後実施する内容について全面的な同意が得られたわけでもないし、変に期待を持たせるようなコメントをしたら、勘違いしてしまうかも知れないから、どうしようかな。なんて伝えよう。


             :

             :


 部屋の前まで戻って来たけど、なんて二人に話すのか決まってない。どうしようかな。扉を開けて中に入る。


「課長。どうでしたか?」

 日笠君の質問に、山田さんも立ち上がって、うんうん頷いている。参ったな。とりあえず打ち合わせ用スペースに座った。二人とも同じく席に座る。


『大変驚いていました』

 そこまで話したところで、日笠君は喜んだ顔を浮かべている。すぐに言葉を続ける。


『仕事をまともにしていると思っておらず、このような対策を検討している事に対して』


「くっ……」

 日笠君が、悔しさのあまりに声が漏れる。漏れるんだけど、「くっ……」って。思わず右手で口元を隠して顔を二人からそらす。はじめて聞いたかも、「くっ」って悔しがる人。やべー笑っちゃいそう。


 視線を二人に戻すと、「ぶぶ、ぶぶぶ」と両手で口元を隠した山田さんと目があった。堪えている笑いがお互い止まらなくなる。ダメダメだって、笑ったら。


『「あああはっはっは、あっはははー」』


「何二人して笑っているんですか、笑いごとですか!」

 日笠君がこちらのツボと違うところで憤慨している。


『あーすみません。笑ったのはそうじゃないんだけど、まあそれは置いておいて。不祥事さえ起こさなければ良いと思っていたとも言われました。

 ただ、検討事項の中には有益な物がありそうな感じですね、今後検討していく上で有益な案が出て、この課だけで実装するのが困難な話なら相談に来て、との事でした。

 社交辞令の部分もあると思いますので、額面通りに受け取るのは危険ですので、過度な期待はしないようにお願いします。最初のコメントにもあるように、全然期待されていないのですから』



---------


 3年後。

 2033年6月3日(月)、群馬県に新型インフルエンザの亜種を想定した、ワクチン及び抗ウイルス薬を製造する工場が完成した。


「課長、いよいよ新型インフルエンザ亜種の工場が稼働を開始しますね」


『そうですね。来月には福岡、再来月には北海道も稼働を開始する予定ですし、大分対策が進んでいますね』

 日本国内に新型インフルエンザ亜種のワクチン及び抗ウイルス薬の製造工場が5つ建造される。5か所で作成するのは、短期間で大量の薬を作成する必要があるのと、製造から配布までの時間短縮、地震による被害で施設が利用出来なくなる恐れがあるので、そのリスク回避のためだ。


「わっ私たちの考えた案が採用されるなんて思ってもいませんでした。あっすみません」

 目がウルウルとした山田さん。ちょっと本音が漏れちゃってますが私も同じ気持ちです。


 工場の敷地内には、バイオセーフティーレベル4【略称BSL4】に対応した研究施設が併設されている。この施設では未知の病気や感染症対策が行われる予定だ。元々国立感染症研究所のみがBSL4として稼働しており、他の施設は周辺住民の理解が得られずBSL3レベルの運用となっていた。

 今回のパンデミック対策を利用して、一気に5か所の施設を新設し、かつ運用の許可を得ることが出来た。これはゾンビ対策以外にも、というよりそれ以外がメインだけど、今後の日本に役立つ施設になるだろう。


 三課の提案内容は室長を経由して室長の意見として盛り込まれた。工場の敷地内にBSL4の施設を作成すること、これは研究から増産までの期間を短縮し、地震やゾンビ被害発生時のリスク分散を配慮したためだ。

 また、BSL4の施設はほぼ同じ設計とした。建築期間短縮や、他拠点に異動した場合でも、直ぐに活用可能にするなどのメリットがある。


「しかし、こんなに早く研究施設を含めて完成するなんて。日本は優秀ですね」


『施設を作るだけなら、箱物行政はお得意ですからね。しかし、はやく研究施設が本格稼働すると良いですね』


「あっあの、研究施設はまだ稼働しないのですか?」


『私には情報が来ていませんが、BSL4施設として稼働できるのは数年先でしょうね』


「「え?」」


「っちょっちょ、課長、施設は完成したのですよね? 何でそんなに先なんですか」

 日笠君が慌ててる。山田さんも激しく頷いている、いつも思うんだけど首大丈夫かな。


『研究施設が出来ても中で働ける技術者は直ぐに用意出来ません。ましてや、五か所も同時に本格稼働できるほど人が集まりませんよ』


「ええ!? だって私達の提案の中には、アメリカ疾病管理予防(しっぺいかんり予防)センター【略称CDC】との人材交流とか、人材育成も盛り込んでいましたよね?」


『はい。人材交流や人の育成にも力を入れていますしノウハウも高めてはいます。でも大量の人を育てるには至っていません。施設を本格的に活用するなら百人位の人は各施設で確保しないと駄目ですね。

 それなのに五か所用意したのは、リスク回避と簡単には開設出来ない施設を今回の騒動のなかで作ってしまおうという思いがあったからでしょう。予算も通りやすいですしね』


「「……」」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ