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こちらゾンビ課。ただいま税金無駄使い中  作者: ぐわじん


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17/28

希望と後悔

「課長。そろそろ対策すべき事項も集まって来たんじゃないですか? そろそろどのような対策を取るのか決めませんか?」


『いや、まだ対策の候補は出尽くしていないと思うんですよね。なのでもう少し候補を出してからの方が良いと思います。

 十分な洗い出しが終わっていない状態で対策を始めたら、本来取るべき対策が後手に回る可能性もあります。それに、今止めるとなんか中途半端感が出ると思うのです。きりが良いところまでもうちょっとだけね』

 

「……。対策の中には時間が掛かるものが含まれている可能性があります。その辺の状況確認が済んでいない状態で判断を後回しにする事で、着手が遅れ対策が間に合わないという事はありませんか?

 シナリオは課長の匙加減一つじゃないですか。要点をまとめて早くきりを良くしてください」

 日笠君の言いたいことも分かるんだけどさ、山田さんに助けを求める。


「わっわたしも、続きは気になりますが、対策を始めたいです。もう少し仕事っぽい事をしたいです。すみません」

 ショック。はあぁ、仕方ない、今回の件の仮想シナリオを切りが良いところに向けて書き始める。対策の候補や優先度決めが終わったら、引き続き書くからね。



--------------


 真っ暗だ。明かりが外から見えると、人やザンビに気が付かれてリスクが増すかも知れないので、極力電気を使ってない。

 早く寝るように、体力を維持するために夜更かししないように言われた。飯田さんはとても親切だけど、それでも知らない人の家だし、外にはザンビが居るし、不安で仕方がない。

 家族は無事だと分かったのは良かったけど、父さんは新宿だし、母さんは湘南台、生きて再開できるんだろうか。


 はぁ全然眠れないよ、眠れない、……zzzz。


       :

       :

       :


 コツン、コツン、ガタ。


 コツン、ガタ、バタン、   コツン、コツン。


 むにゃ? 何か音が聞こえる。目を開けるが真っ暗だ。


 コツン、コツン、バタン、ドカドカ、  コツン、コツン。


 いいいいやややぁーーーー、凄く近い! そう隣の部屋、飯田さんが寝ている部屋から音がする。多分部屋の中で歩いて壁や扉にぶつかって倒れて、また歩いて、そんな感じの音だ。

 嘘でしょ、飯田さんザンビになっちゃったの? 私超危険じゃん! どうしよう、どうすればいいの?でも、このまま部屋に居ても危険だし、まずはどうなっているの確認しないと。


 コツン、コツン、コツン、ドン、ドン。


 部屋を出て台所に出る。どうやら、ベランダに繋がるガラスの方にぶつかっているようだ。そっと扉を開けて部屋の中の様子を見る。真っ暗なので良く見えない。当たり前だ。

 だんだんと目が慣れてきて、薄っすらと中の様子が分かって来たような、その瞬間、扉の隙間に手が掛かり、いっきに扉が開かれ、そこから飛び出してくる! 飯田さんだ!


「きゃあああああーーーーー」

 悲鳴と共に、がばっと、上半身を起こすと、部屋がうっすら明るい。あれここどこだ? 扉がガバっと開いた。


「大丈夫?」


「きゃああああーーーーー」

 あ、飯田さんだ。どうやら夢を見ていたらしい。すごいハズイ。


「はっはい。大丈夫です」

 そう言って、部屋を出る。 ッン!


 一緒に朝食を食べるために、飯田さん側の部屋に入る。テレビは付いているが、キャスターは映ってない。ザンビが確認された数、倒された数などが記述されているようだ。


「あの、もうキャスターの方は、その、居なくなってしまったのでしょうか?」

 飯田さんがリモコンを押したら、キャスターが映ってニュースを伝えていた、良かったー。


「さっきのはデータ放送だよ。Dボタンね」

 ああー、なんか番組と連動してクイズとか答えるあれね。


「キャスターだと一方的に話すだけでしょ。データ放送だと、提供されている複数の情報から、欲しい情報を選択して見れるからね。わたしも普段は使ってないよ」

 なるほど。交通機関を見ると全面停止となっているし、道路も一都三県からは出れない事を示している。こんな状況だとどうすればいいか本当に分からない。


「飯田さん、この先日本はどうなっちゃうんでしょうね。そして私たちもどうすればいいのか…………、あっすみません」

 話している間に涙が零れてきた。


「実はいいニュースもあるんだよ。今回の原因はウイルスであることが判明しました。なのでインフルエンザとかと同じように、うがい、手洗い、体力維持、健康的な生活を送ることで、ウイルスが体内に入っても体が抵抗して発病しないケースもあるって」


「うそ! うそでしょ?」

 そんな、都合の良い話がある訳ない。しかも1日しか経ってないのに、そこまで判明するなんておかしいよ。


「本当だよほら」

 データ放送で、今回の原因が掛かれている記事が映し出されている。その記事を読んでいる間に、政府公式アカウントの情報を表示させたスマホを渡して来た。


「すッすごい! なんでこんなに早く分かったの? 日本凄すぎ!」

 飯田さんが笑いながら頷いてた。他にもウイルスが体外にある間は、アルコール消毒や次亜塩素酸ナトリウム消毒液でも効果があるらしい。ナニ? 次亜塩素酸ナトリウム消毒液って? まあどうでもいいや、また部屋の湿度をあげるのも予防に効果があるとの事。なんか希望がもてた気がする。


「それともう一つ。ザンビ同士でも襲いあうらしい。なので、街中でザンビ同士が遭遇すると食べあいになって、うまくいけば共倒れ、悪くても片方の体が欠損するから死んだり、威力が弱まるらしいよ。

 さらに自衛隊や米軍などが、少しずつザンビを倒しているって。だから家からは絶対に出ないようにってさ」


「なんとかなる気がしてきました!」 

 今度は嬉しくて涙があふれてきた。飯田さんがくれたタオルで顔を拭く、よしもう少し頑張ろう。


「ごほっ、ごほっ」

 飯田さんが咳をしている、あれはヤバい感じの咳だな。完全に風邪っぽい。


「大丈夫ですか?」


「ああ、大丈夫だよ。先ほど買い置きの風邪薬を飲んだし全然大丈夫。ただ体力が重要みたいだからご飯食べ終わったら、少し横になります。昼飯は適当に作って食べてください」


「それじゃあ、お昼は私が作りますね。飯田さんは寝ててください。なんか安心したらお腹が空いちゃいました」


「ふふふ。佐藤さんは、結構食べるんですね。あ、いや食料は、まだあるから大丈夫なんだけど、意外だなと思って」

 笑いながら、からかってくる。もうー。


「昨日はストレスでいっぱい食べちゃっただけで、今日は安心したからお腹が空いただけです。普段はこんなに食べないですよ。

 あっ成長期なのかも、今日も起きたら関節が痛かったし」



 もう少し、もう少し頑張ったら家に帰れるかも。また飯田さんが咳をしているけど、はやくよくなるといいな。ところでおかゆってどうやってつくるんだろう? おなかすいたな。




--------------------



「おえええー。ゲッホゲッホ」

 トイレに今食べた朝飯を吐き出す。


「大丈夫かマサト」

 トオルが声をかけて、背中をさすりに来てくれた。


「ああ、大丈夫だよ」

 別に自分の体調は悪くない、悪いのは気持ちだ。


「もう、そんなに気にするなって、仕方ないじゃないか。誰も悪くない、悪くない。ザンビが出る世の中が悪いんだって」

 確かにトオルの言い分は分かる、でもさ、今回のザンビは病気で、しかもインフルエンザように感染もするかもしれないが予防出来る病気だ。


「でもさ、家にいて閉じこもっていれば、人を殺さずに済んだんじゃないのか? 俺だって当初は、人のために立っていると思ったよ。

 でもさ、でもさ、自分の身が危険な訳でもないのに6人も殺したんだぜ。チクショウ。 お、ウゲーーー、ゲーー」


「おい、食事は無限じゃないんだぞ。そんなに吐いたら栄養が取れずに死んじまうぞ」


「ああ、悪い、じゃあ戻したものを食べるか」


「ばかばか、よせ、そういう意味じゃない。栄養が取れずにいたら死んじまうから、出来るだけ気にするなって話だよ。それにお前んちの食事なんだし別に無駄にしたっていいけどさ。

 こんな状況で、お前まで死んじまったら、俺たちはどうしたら良いんだよ、俺だって後悔しているし、辛いよ。でもさ、今できることは生き残ることじゃなのか?」

 タケシもトイレのそばまで来てくれている。


 パーン、タタターン、タタターン。銃声が聞こえる。自衛隊や警官がザンビを殺している音だ。


 初日に6体のザンビを倒して、タケシとトオルは俺の家に泊まっている。ハルト達はそれぞれの家に帰った。やっぱり何かあった時に心強いから気の合う仲間で過ごすことにしたんだが、2日目の朝にそれは起きた。

 ウイルスで感染する病気、予防も出来る、そんな情報が政府から伝えられた。なのに、なのにだ。家から態々道具を持ちだして、6人も殺したんだ。病気なら治るかも知れないのにだ。


「なあ、気持ちは分かるよ。それにさ、病気だとしてもそんなに都合よく治療薬なんて開発出来ないって。万が一薬が出来たって大量生産するには時間が掛かるし、億が一治療薬が大量生産出来たとしてもだよ、ザンビに殺されている人だって数多くいるんだぜ。

 あのままさ、あいつらを放置してたらさ、助からない命だってあったかもだよ。それにさ俺たちが殺さなくても、結果的には今のように殺されているって。なあ元気出せよ」


「悪いな、気をつかわせって、て、うううう」

 涙があふれて止まらない。ただ何で泣いているかは自分でも分からない。殺した事への後悔? 気遣ってくれるダチの気持ち? 心配をかけてしまった事への反省? 分からないけど涙が止まらない。

 そんな俺をトオルが抱きしめてくれた。そしてトオルごとタケシが抱きしめてくれる。本当に申し訳ない、申し訳ない。でも今はとても幸せだ、申し訳ない。



-------



「課長、これで終わりですか? あと、不要な夢ネタとかありましたけど」


『まだ続きます。次で一旦終わりにしますので。という事で、今回のシナリオで何か気になったことはありますか?』

 あえて、思わせぶりな表現を多用してみた。気になったんだったら、書いてあげてもいいんだからね。


「でッデータ放送に注目したのは、何ででしょうか? インターネットではダメなのですか?」


『はい。インターネット回線が利用出来なくなることもを想定してみました。それにデータ放送であれば、PCやスマホに慣れていないお年寄りでも、確認しやすくなると思いました』


「なるほど、データ放送の活用も対策としては良い気がしますね。ところで、ザンビを倒した数ってわかるものなんでしょうか?」


『前の仮想シナリオで、ザンビの目撃数や討伐数が分かった方が、役に立ちそうだと思いましたので、それが出来るといいなと思って書いてみました。実際に分かるかどうか不明ですが、そんな情報があったら安心出来るんじゃないかなと』


「もしかして、政府がフェイクニュースを流しているという事ですか? ウイルスが原因とか分かったのも、フェイクなんですか?」


『さあどうでしょう。嘘でも流した方がみんなのためになるって話もあるかも知れませんね』

 教えてやらん。気になるなら、続きを書いてあげても良いんだよ。


「あっあの、ザンビを倒した方への心のケアが必要だと感じました」

 さすが山田さん優しいなあ。


『そうですね。本人たちは良い事をしたとその場では思ったでしょうが、人を殺すというのは凄く負担だと思いますね。警官や自衛隊、米軍の人にもケアやフォローが必要でしょうね』

 あまり意見が出ないので、続きを書き始める。

1個目の仮想シナリオは2日目、

2個目の仮想シナリオは3日目です。

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