人形屋敷の攻防 6
「ギャァァァァァ!」
炎に包まれた人形の絶叫が木霊する。
俺は慌ててフォルリの近くに駆け寄り、そのまま部屋を脱出した。
「フォルリ……信じてたぜ」
俺は本のモードに戻ったフォルリを手にすると、全力で走った。
「フォルリ、タイラーのこと、守る。約束した」
「へっ。お前は立派に役に立つよ。どっかのインチキ魔宝具売りよりな!」
そういって俺は先ほどの部屋まで全力疾走する。
そのまま相変らず部屋の中央で眠ったままのアニマを背負って、立ち上がった。
「よし……こんなわけわかんねぇ所からはさっさと脱出だ」
俺はそのままドアを蹴って開き、玄関まで向かう。
しかし、玄関のドアは相変らず閉まったままだった。
「え……フォルリ! どうなってんだよ!」
「おかしい……アイツ、倒したはず……」
しかし、ドアは俺が蹴っても開く気配はない。
そして、俺は何か異様な気配を背後に感じ取った。
「ニガサナイ……ワタシハ……ニンゲン……」
見ると、炎に包まれた人形が、そのままこちらに歩いてやってくるのだ。
「う、うおお……嫉妬も大概にしてくれ……クソッ……どうすればいいんだ……」
既にフォルリの攻撃では倒せないことはわかっている。
既にもう万策は尽きてしまった……
「……クソッ! いつまでも寝てないで、どうにかしてくれ、インチキ魔宝具売り!」
藁にも縋るそんな思いで、俺が叫んだ瞬間だった。
俺が背負ったアニマはいきなり手を前に出したかと思うと、そのまま黒い炎を人形に向かって発射した。
「ウギャアアア!」
人形は瞬時に黒い炎に包まれた。
そして、ひとしきり叫んだ後、それこそ、糸が切れた操り人形のようにその場にいきなり倒れこんだ。
瞬間、ドアが開いた。
「え……あ、アニマ?」
「むにゃ……誰がインチキですって……タイラー……むにゃあ……」
見ると、アニマはまだ眠っている。
「どうやら、寝言、らしい」
フォルリに言われて、俺は、あっけない幕切れで、魔物との戦いが終了したことを把握したのだった。