表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/251

人形屋敷の攻防 6

「ギャァァァァァ!」


 炎に包まれた人形の絶叫が木霊する。


 俺は慌ててフォルリの近くに駆け寄り、そのまま部屋を脱出した。


「フォルリ……信じてたぜ」


 俺は本のモードに戻ったフォルリを手にすると、全力で走った。


「フォルリ、タイラーのこと、守る。約束した」


「へっ。お前は立派に役に立つよ。どっかのインチキ魔宝具売りよりな!」


 そういって俺は先ほどの部屋まで全力疾走する。


 そのまま相変らず部屋の中央で眠ったままのアニマを背負って、立ち上がった。


「よし……こんなわけわかんねぇ所からはさっさと脱出だ」


 俺はそのままドアを蹴って開き、玄関まで向かう。


 しかし、玄関のドアは相変らず閉まったままだった。


「え……フォルリ! どうなってんだよ!」


「おかしい……アイツ、倒したはず……」


 しかし、ドアは俺が蹴っても開く気配はない。


 そして、俺は何か異様な気配を背後に感じ取った。


「ニガサナイ……ワタシハ……ニンゲン……」


 見ると、炎に包まれた人形が、そのままこちらに歩いてやってくるのだ。


「う、うおお……嫉妬も大概にしてくれ……クソッ……どうすればいいんだ……」


 既にフォルリの攻撃では倒せないことはわかっている。


 既にもう万策は尽きてしまった……


「……クソッ! いつまでも寝てないで、どうにかしてくれ、インチキ魔宝具売り!」


 藁にも縋るそんな思いで、俺が叫んだ瞬間だった。


 俺が背負ったアニマはいきなり手を前に出したかと思うと、そのまま黒い炎を人形に向かって発射した。


「ウギャアアア!」


 人形は瞬時に黒い炎に包まれた。


 そして、ひとしきり叫んだ後、それこそ、糸が切れた操り人形のようにその場にいきなり倒れこんだ。


 瞬間、ドアが開いた。


「え……あ、アニマ?」


「むにゃ……誰がインチキですって……タイラー……むにゃあ……」


 見ると、アニマはまだ眠っている。


「どうやら、寝言、らしい」


 フォルリに言われて、俺は、あっけない幕切れで、魔物との戦いが終了したことを把握したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ