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人形屋敷の攻防 2

「く、クソッ……お前! 何が目的だよ!」


 俺がそういうと、メイドは急に表情を変えた。


 それこそ、人形のような貼り付けた顔で俺の方を見る。


「私……まだ足と手がないのよ。だから、ずっと探しているの……でも、中々いいのが見つからない……でも、アナタが背負っているその子……綺麗な手足をしているわ」


「だ、だから、なんだってんだよ……」


「だからね……その子の手足……ワタシニチョウダイ!」


 そういってメイドはまたしてもナイフを手にしてこちらに突っ込んできた。


 俺は手を前に出す。水流が発射されるが、メイドはそれを見きっていたかのように瞬時に避けた。


「な、なんだと……クソッ!」


 そして、またしても、メイドはこちらに向かってくる。水流を放出してもおそらくまた避けられる……だとすれば……


「はっ! そうだ……」


 俺はあるものを見つけそれに向かって手をかざす。


「フォルリ! 最大魔力でアレに向かって撃て!」


「了解」


 そのまま俺の手から水流が一気に放出される。


あらぬ方向に放出された水流にメイドも少し意表をつかれたようだった。


「あらあら……どこに撃っているんですか? ちゃんと私を狙って――」


 そうメイドが言っている最中だった。天井から巨大なシャンデリアが落ちてきて、メイドはそれの下敷きになった。


「よ、よし……やったか?」


「……ダメ。完全には倒してない。ここはひとまず逃げるべき」


 フォルリの言葉を聞いて俺は納得した。


「よ、よし! とにかく、逃げるぞ!」


 俺はそのままアニマを背負って適当に走り、近くの部屋に飛び込んだ。


 部屋の中は薄暗く、何も見えなかった。


「な、なんだよ、この部屋は……」


 何も見えない部屋を歩いていると、ボキッ、と俺は何かを踏んだようだった。


「な、なんだ?」


「タイラー……ここ、入るべき部屋じゃなかった」


「え……?」


 フォルリに言われて俺は、段々と暗さに慣れてきた目に写った光景を見て後悔した。


 俺の目の前には、無数の白骨が山のように積まれていたのである。

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