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笑うメイド人形

「あ……アンタ……」


「あらあら……勝手に人の屋敷の中を歩きまわるのは……お客様といえども、感心できませんねぇ……」


 メイドはねっとりとした口調でそう言う。俺は思わず日記を瞬時に閉じてからメイドの方に振り返った。


「あ……え、えっと……そうだ! トイレだよ! トイレ! 探してたら変な部屋に迷い込んじまってさ……あはは、悪かったな。さっさと出て行くよ」


 俺がそういってドアの方に歩き出そうとした時だった。


 何かがメイドの手から放たれたのがわかった。


 その物体は、俺の足元に突き刺さった。


「……え?」


 見ると、銀色のナイフが一本、床に突き刺さっている。


「え、えっと……え?」


 俺は顔が引きつるのがわかった。恐る恐る顔をメイドの方に向けると、メイドは貼り付けたような笑顔で俺のことを見ていた。


「その日記……読んだのでしょう?」


「え……あ、ああ……読んだ」


 俺は思わず素直に認めてしまってから、それを後悔した。


 なぜなら、メイドは俺の方にいきなり走ってきたかと思うと、そのまま持っていたナイフを振り上げ、俺に襲いかかってきたからである。


「うおっ!?」


 俺は思わず飛び退いた。そして、なんとか地面を這いつくばってメイドの奇襲を避ける。


 見ると、メイドは先ほど俺が読んでいた日記にナイフを突き立てていた。


「……見られてしまったら、仕方ない。アナタは……殺すわ」


「え……ちょ、ちょっと待てよ! な、なんで……」


 俺がそう言うと、なぜかメイドはケラケラと笑い出した。


 それは人間の笑い声にしてはあまりにも不自然な声だった。


「なんで……それは……ワタシガ……オニンギョウダカラヨ!」


 そういってメイドの首は、まるで人形のように、こちらへ180度回転したのだった。

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