今日からアナタも魔法使い 6
「え……フォルリ……自身?」
フォルリはひどく動揺した様子で、アニマにそう尋ね返した。
「ええ。そうよ。魔女同士の勝負なら、本人同士がやるものに決まっているでしょ」
アニマは落ち着いた様子で、大きく欠伸をしながらそう言った。
フォルリは困った顔をしながら、しきりに助けを求めるように俺の方を見てきている。
「あ……え、えっと……フォルリ。お前、アニマに勝てるってさっき言ってたよな?」
「え……あ……」
すると、アニマはプッと小さく吹き出した。
「ふふっ……私にねぇ。一人で魔法が使えないフォルリが、この私に勝てるって?」
そう言われると、フォルリは顔を真っ赤にして俯いてしまった。
俺は思わずフォルリの方を見る。
「え……お前、それどういう……」
「そのままの意味よ。タイラー。フォルリは、一人では魔法を使えない魔女なの。魔宝書として誰かに使役されることで、始めて魔法を使うことが出来るのよ」
そう言うと、アニマは大きく伸びをして俺達に背を向けた。
「フォルリ。何を思ったのか知らないけど、私にはアナタじゃ勝てない。タイラーに迷惑をかけるのはやめなさい」
フォルリは悔しそうに唇をかみしめていた。俺はただ、フォルリのことを見ていた。
「……おい、待てよ」
と、思わず俺の口から言葉が出てきてしまった。
「何、タイラー」
振り返ったアニマに俺はキッと睨みつける。
「……いや、俺も散々お前に迷惑をかけられてきたからな。ここらでお前に一発お見舞いしてやりたいって気持ちもわからんでもない」
「え……それって……」
と、俺はそのままフォルリの方に向かっていく。
フォルリは意外そうな顔で俺を見ていた。
「フォルリ。魔宝書の姿に戻れ。俺が、お前を使ってやる」
「た……タイラー……」
嬉しそうに目を細めながら、フォルリはすぐに本の姿へ変化した。
「へぇ……ねぇ、タイラー。付き合いが長いからわかると思うけど、私、手加減できないタイプよ?」
アニマはそういって妖艶な笑みを浮かべる。
俺も笑顔で返事した。
「ああ。もちろん、わかっているさ」