今日からアナタも魔法使い 4
「……はぁ? 何言ってんだよ……寝ぼけてんのか?」
俺がそう言っても、フォルリの表情は真剣だった。
なんといったらいいか……目がマジだったのである。
「……ったく。どういうことだよ? 俺は魔法は使えない。そりゃあ、アニマの魔宝具で一時的に使えるようになったことはあったが、基本的には何も出来ないただの人間なんだよ」
「使える。私、使えば」
「……はぁ? お前を……使う?」
俺が尋ね返すと、フォルリは小さく頷いた。
「今から、アニマの所、行く」
「え……な、なんでだよ?」
「アニマ。私とアナタで、倒す」
「倒すって……な、なんじゃそりゃ。倒さねぇよ。大体、アイツは倒せねぇって」
すると、フォルリはいきなり俺の手を掴んだ。
「来て。私、使わせてあげる」
「お、おい」
俺の静止も聞かず、フォルリはそのまま歩き出してしまった。そして、家の外に俺を釣れ出す。
「……で、どうするんだよ」
すると、フォルリの身体が輝き、一瞬にして本になった。
「タイラー。私、手に取って」
本になったフォルリを、俺は言われるままに手にした。
「ほら。持ったぞ」
「手、アニマがしているみたいに、前にかざして」
こうなっては付き合ってやろうと思い、俺は片手を前につきだした。
其の瞬間だった。本がいきなり怪しげな光を放ちだす。そして、なぜだか俺の手の先に何か力のようなものが集まりだし……
と、思った瞬間だった。
いきなり、俺の手の先から、すさまじい勢いで水流が吹き出したのである。
「うおっ!? な、なんじゃこりゃ!?」
俺は思わず腰を抜かしてしまった。
「ふふっ。驚いた? 私、タイラーの身体使って、魔法、使用した」
「え……じゃあ、つまり……」
「そう。私を持っていれば、タイラー、魔法、使える」
俺は未だに実感が持てなかったが、今一度まじまじと掌を見た。
「さぁ、タイラー。アニマに、一発、お見舞いする」
本の姿のフォルリは力強くそう言った。
「で、でもなぁ……これでアニマに勝てるとは……」
すると、本が再び輝きだし、元のフォルリの姿に戻った。
「大丈夫。私、信頼、してほしい」
フォルリはなぜかやけにアニマに勝つことにこだわっているようだった。
「……わかったよ。とりあえず、アイツの店まで行くぞ」
俺が渋々そう言うと、フォルリは嬉しそうに頷いたのだった。