今日からアナタも魔法使い 3
「……ったく。言い過ぎも何も……俺は家の主として当たり前のことをしただけじゃねぇか」
自分の寝室のベッドで眠っていると、怒りが今一度沸き上がってきた。
大体、こんなことになったのは、フォルリを無理やり俺に押し付けてきたアニマのせいじゃないか。
アイツ……魔女同士仲良く一緒に暮らせばいいのに、どうして、フォルリを俺に押し付けたんだか……
「くそ……アニマに聞いてもどうせ、教えねぇだろうし……腹立つなぁ……」
「タイラー」
と、いきなり扉の向こうから声が聞こえて来た。俺は思わずベッドから飛び起きる。
無機質な声……フォルリだ。
「な……なんだよ。こんな時間に」
「タイラー。私、ちょっと話、ある」
「話? ったく……わかったよ。今行く」
俺はそういって扉を開けた。すると、気まずそうな顔のフォルリがそこに立っていた。
「なんだよ。何か用か?」
「あ……その……謝罪、する」
「謝罪? はぁ……別に怒ってねぇよ。俺は居候としての自覚を持ってくれ、って言っただけだ。じゃあな」
「あ……待って」
と、フォルリはいきなり俺の服の袖を掴んだ。
「……なんだよ。まだ用があるのか?」
「あ……私、タイラーに、良いところ、見せたい」
「はぁ? 良いところって……なんだよ?」
フォルリは少し戸惑ったようだったが、それからしばらくして、意を決したように俺のことを見た。
「タイラー……私、アナタを……魔法使いにしてあげる」