アナタも今日から魔法使い 2
「しかし、こんなまさか三人で飯を食べることになるとは、我等も思っていなかったのぉ」
料理を口に運びながら、セピアが感慨深くそういったのが聞こえて来た。
「ご飯、おいしい」
フォルリも普通に飯を食べている。本のフリをするのが趣味であっても、飯は食べるようである。
「それはよかった。で、お主はどうして本のフリをするのが好きなんじゃ?」
と、セピアがぶしつけにそう聞いた。其の質問は俺も聞きたかったので、俺も思わずフォルリの顔を見てしまう。
フォルリはキョトンとしたようで俺とセピアを見ている。
「理由……説明、必要?」
「え? ああ、それは……少し気になっただけなのじゃ。別に必ず説明する必要ないが……」
セピアも気弱になってしまい、そのまま食事を再開してしまった。フォルリも説明する気もないようである。
しかし、俺は気になった。そもそも、俺の家に居候させているのに、俺はフォルリに対して知らないことが多すぎる。
「……なぁ、フォルリ」
「何。タイラー」
「……俺は一応この家の主だ。主としていうが、お前が本のフリをする理由は、俺だって知りたい」
俺がそう言うと、フォルリはなぜか悲しそうに目を伏せた。どうやら、言いたくない理由があるようである。
「……タイラー、意地悪」
「はぁ? お、お前なぁ……ったく。言いたくないならいいけどよぉ。飯ができたらさっさと物置から出てこいよ。大体、お前、居候なんだから、セピアにばっかり飯の用意させんなよな」
「あ、主……いいのじゃよ。我等の中には料理を作るために作られた魔宝具もいるのじゃ。料理を作らせてくれることに我等は感謝しているのであって……」
「いや、ダメだ。セピアも甘やかすな。お前と違って、フォルリは俺がアニマから押し付けられたんだ。居候としての自覚を持ってもらわないと」
さすがに少し言い過ぎだと思い、チラリとフォルリを見る。すると、無機質な瞳でフォルリは俺のことをジッと見ていた。
「な……なんだよ」
「……わかった。フォルリ、タイラーに良い所、見せる」
「え? い、良いところって……?」
すると、フォルリは立ち上がり、そのまま居間から出て行ってしまった。
「あ……お、おい! フォルリ……」
しかし、フォルリは振り返りもせず、物置の方にそのまま進んでいってしまった。
「やれやれ……主よ。今のは言いすぎじゃ」
セピアにそう言われ、さすがの俺も反省したのだった。