魔宝書大図書館
「……ふわぁ」
「……ちょっと。あくびをするなら自分の家でしてくれない?」
俺は相変らずアニマの店のガラクタを物色しながら、俺は大きくあくびをしていた。
「……なぁ、ないのかよ? なんかいい魔宝具は?」
「ないわよ。そう毎日あるわけないでしょ」
取り付くシマもない風に、ピシャリとそう言われてしまう。俺もそんなことはわかっているので、特に目的もなく、積み重なっているガラクタを弄っていた。
「……あ。おい、この本、なんだよ?」
「え? どれ?」
「ほら。これ。ラベルが付いている」
そういって俺はたまたま見つけた魔宝書をアニマに手渡した。
本……おそらくそれは魔宝書なのだろう。それには珍しいことに何かのラベルがついていた。
すると、アニマは目を丸くして本を開く。其の瞬間、アニマの顔が真っ青になった。
「……しまった。返却期限、切れてるわ」
「はぁ? 返却期限?」
すると、アニマはいきなり立ち上がってそのまま店の奥に行こうとする。俺も反射的に後に続いた。
「おい、なんだそれ? 借り物なのか?」
「ええ。そうよ。そうね……見つけてくれた御礼にいいものを見せてあげるわ」
すると、アニマは店の奥にどんどん入っていく。すると、その先には、上へと続く階段があった。
「え……この店、二階なんてあったか?」
「ないわよ。ほら、さっさと付いてきて」
階段を登り切ると、なにやら扉が見えてきた。俺はまたしても嫌な予感が感じた。
「……いい? 絶対に、私から離れないでね」
アニマがそう言って扉を開けた。
すると、その先に広がっていたのは、広大な本棚だった。
「え……な、なにこれ」
俺は絶句してしまった。
本棚……というよりも、その空間そのものが、本棚で一杯になっているという感じだった。
そう、これではまるで……
「これは、図書館よ。魔宝書大図書館。魔女たちだけが利用することができる、魔宝に関する知識の泉みたいなものね」
得意げな顔でアニマは俺にそう言ってみせたのだった。