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思い出の城 1

「……で、ここはどこだよ?」

「さぁ? どこかのお城じゃない?」


 さも他人ごとのようにそういうアニマ。俺は今一度、目の前にそびえ立つ巨大な城を眺める。

 霧に包まれた、その城は、まるでそれ一つが生き物のようだった。

 今まで城というものを近くで見たことはなかったが、近くで見ると大きなものである。それでいてなんとも、人に対し威圧感というものを出している。


「……で、ここに代償魔宝具があるっていうのか?」

「ええ。そうよ」

「……どう見ても誰も住んでないようにしか見えないんだが」

「でも、言われたとおりの場所に間違いはないから。とにかく、城の中に入りましょう」

「……入れるのか?」


 目の前には大きな門がそびえ立っている。とても簡単に中に入れるような感じではない。


「そうねぇ……どうしたものかしら」

「え……考えてなかったのかよ?」


 アニマは悪びれる様子もなく、小さく頷いた。俺は何も言えずただ呆然とする。


「……あら? 誰か来るわね」


 と、アニマの言う通り、薄い霧野彼方から、誰かが来るようだった。

 俺は思わずアニマの後ろに隠れる。


「アナタねぇ……プライドってものはないの?」

「ねぇよ! だ、誰だ、こんな場所で……」


 人影はゆっくりとこちらに近づいてきた。セピアも俺と同じように怯えている。アニマだけがまるで動じずにただやってくる人影を見ているだけである。


「……あら。お客様?」


 と、表れた人影を見て、思わず俺は目を疑った。

 黒い丈の高い帽子、そして、黒いローブ……アニマと同じような格好だ。髪は綺麗な茶色で、ニッコリと優しげな笑顔を浮かべている。


「アナタ、ここのお城の人?」

「ええ。珍しいわね。こんな所に人が来るなんて」


 アニマは怪訝そうな顔で目の前の女を見ている。目の前の女はニッコリと優しげな笑顔を浮かべているだけである。


「……アナタ、魔女?」

「え? ああ……そんな大層なものじゃないわ。似たようなことはできるけど……お城の中に入りたいの?」

「ええ。そうね」


 すると、女は門の方に顔を向ける。その途端、門がまるで女が来たことを察したかのように、簡単に開いたのである。


「さぁ、どうぞ」


 女はそういって門の中に入っていった。


「お、おい、アニマ……あれ……」


 俺の言葉に何も答えず、アニマは女の方を見ていた。仕方ないので、俺はアニマの方を見る。


「さぁ、行くわよ」

「えー……行くのかよ」


 俺が消極的であることも意に介さずにアニマはそう言うと、そのまま城の方に向かっていった。

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