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中古魔宝具販売店「マジック・ジャンク」  作者: 松戸京
魔女の遺体 大地蹴る左足編
251/251

破滅の願い

「な……お前……」


 メンテの腹には完全に剣が突き刺さっていた。その剣は紛れもなく、カルマの右目が柄の部分に嵌っていた剣である。


 しかし、その部分には右目は見当たらない……ということは……


「カルマ様は……完成したんだよ……」


 瀕死の状態のはずなのに、メンテは嬉しそうにそう言う。


「メンテ……どうして、こんなこと……」


 いつの間にかフォルリが人間モードに戻り、メンテに詰め寄る。


「どうして……? 決まって……いるだろ……この世界に、復讐するためさ……」


「何言って……なぜ、カルマを復活させること、世界への復讐に……」


 フォルリは理解できないという顔でメンテを見ている。メンテはフォルリから目を逸し、僕のことを見る。


「……ジョセフ・タイラー……君にはわからないだろうが……アニマ先輩だって、ずっとこうしたかったはずなんだ……」


「え……アニマが……」


 すると、メンテは嬉しそうな顔で目を細める。


「でも……アニマ先輩はそれを隠して、お前みたいな出来損ないと平和に暮らそうだなんて……そんなの、アニマ先輩じゃない……」


 そういって、メンテは勝ち誇ったように俺を見る。


「だから……僕が壊してやった……そんなの、僕が知っているアニマ姉様じゃない……だったら、あの悪魔に、魂を売ってでも……」


「メンテ……じゃあ、アナタ、カルマのこと……」


 フォルリは信じられないという顔でメンテを見る。メンテは小さく頷く。


「知ってたさ……カルマ様が、僕のことを……用済みになったら、殺すことくらい……それでも、いいよ……これで、こんな世界も、僕のことを拒否したアニマ先輩も……全部壊れちゃうんだから……」


 俺はさすがにさすがに我慢できなくなった。思わずそのままメンテの胸ぐらを掴む。


「おい! てめぇ……勝手な事言いやがって! アニマがいつそんなこと頼んだよ! アニマは……お前が思っているような奴じゃ……」


「ひ……ヒヒヒ……苦しめ、ジョセフ・タイラー……ひひ……僕はもう死ぬ……さぁ、カルマ様……アニマ姉様の身体を存分に使って、このクソみたいな世界を……ぶっ壊し……て……」


 そう言うと、メンテはガクリと首を垂れて動かなくなった。それは、メンテの命が尽きたことを示す合図だった。


「……やれやれ。面倒なことになったね」


 俺とフォルリの背後から、レーナが大きくため息をつきながらそう言った。


「両目が回収されたとなると……残るは、アニマの使い魔と、左手だけか」


 レーナにそう言われて、俺は黒炎竜フレイアのことを思い出す。


「じゃあ、カルマはそこに……」


「……おそらく、もう戦いは始まっている……いや、終わっているかもね」


 レーナのその言葉に俺とフォルリは思わず顔を見合わせてしまう。


「え……戦いって……」


 俺の言葉を聞くと、レーナは面倒くさそうに先を続ける。


「黒炎竜を操る『激昂する紫電』と、『黒炎の妖女』の魔力を身につけた『蒼炎の魔女』の戦いがね」

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