雷の魔宝殿 4
「えっと……これでいいわけ?」
俺はトリンデと手をつないでいた。これで先ほどのような電撃が流れるのだと思うと……正直ちょっと嫌な気分になった。
「ああ。よし。では、フィヨルギュン、お前は後から雷電山に来るように」
「はい。トリンデ様」
そう言うと、フィヨルギュンはそのまま部屋から出て行ってしまった。
俺は思わずぎゅっと本モードのフォルリを握る。
「た、タイラー……そんな強く握らないで」
と、なぜかフォルリが少し恥ずかしそうに俺にそう言ってきた。
「え……あ、ああ。すまん」
「……タイラー。その……なんだ。私の手はもっと強く握っていいんだぞ?」
と、トリンデもなぜか恥ずかしそうにそう言った。
「……いや、遠慮しておく」
なんだか強く握ると余計に強い電撃が流れてしまいそうだったので、俺は遠慮しておくことにした。
しかし、トリンデは不満そうだった。
「……よし。まぁ、いい。とにかく、今から転移を開始するぞ」
そう言うと、いきなりバチバチという音がトリンデの身体から聞こえて来た。
見ると、紫色の光がトリンデの身体の周りに光っている。
「あ。そうだ」
と、俺はその最中にあることを思い出した。
「なぁ、トリンデ……フィヨルギュンって、お前の使い魔……ドラゴンなんだよな?」
「え? あ、ああ。そうだが?」
既にトリンデの周囲はでは激しくバチバチと音がする。
「お前のドラゴンは……どうやって雷電山に行くんだ?」
「そりゃあ、フィヨルギュンには翼がある。飛んで行くに決まっているだろう」
「……フィヨルギュンに変身してもらって、それに乗せてもらっていけば……俺が電撃を食らう必要ってないんじゃないか?」
「あ」
トリンデは今になって気付いたようだった。
しかし、その時には既に、バチバチと大きな音を立てて、俺の身体に電流が流れていたのだった。




