魔女の日記 第五巻 2
「……うおっ!?」
気付くといつの間にか、知らない場所に飛ばされていた。
「皆? 大丈夫か?」
「ああ、大丈夫じゃ」
と、セピアが返事する。
「大丈夫。ここにいる」
「はい! ヴィオも大丈夫です!」
見ると、全員揃っていた。どうやら散り散りになったとかそういうことはないようである。
「……で、ここはなんなんだ?」
見渡すと、辺り一面焼け野原だった。そこかしかこには、黒ずんだ物体が転がっている。
「……これは、おそらく、戦いの跡」
「戦いって……戦争か?」
俺がそう訊ねると、フォルリは首を横に降る。
「違う……魔女の決闘」
「決闘?」
その瞬間だった、少し離れた所から、爆音が聞こえて来た。
「な、なんだ!?」
見ると、少し離れたところで火の手が上がっている。
黒い炎と青い炎が絡み合って燃えているのだ。
「な、なんだよ、あれ……」
「あれが……決闘」
その炎を見て、俺は既に理解していた。この決闘とやらが、誰と誰が戦っているのかを。
「ふむ……ここからでは見ることはできぬな。もう少し高い場所に移動してはどうだ?」
セピアの提言に俺は納得した。しかし、激しい胸騒ぎが俺を襲う。
本当に……見に行って大丈夫なのか?
俺は見る覚悟ができているのか?
そんな思いを抱きながらも、俺はそのまま移動を開始したのだった。




