カルマの恐怖
「おい! フォルリ!」
マジック・ジャンクから離れて少しした距離に、フォルリは歩いていた。
俺はなんとか歩いている最中のフォルリに追い付くことができた。
「あ……タイラー」
「ったく……何やってんだよ。一体どうしたってんだよ?」
俺がそう言うと、フォルリは済まなそうに頭を下げる。
「……ごめん。でも……なんとかしないと」
「……なぁ、一体なんでお前らそんなにビビッてんだよ? メンテの奴が持っていたあの剣……あれは魔宝具なんだろ? それに、そのカルマ? っていう魔女の目玉が嵌っていて……いや、もちろん、復活の話とかも聞いたけど……あー! もう、一体なにがどうなってんだよ!」
思わず怒ってしまった俺に、フォルリは少し驚いたようだった。
そして、益々済まなそうに頭を下げる。
「……タイラー、本当にごめん」
「だから……もういい。謝るな。説明をしてくれ。アニマにしてもお前にしても……一体カルマってのはなんなんだ?」
俺がそう言うと、フォルリは少し躊躇ったようだったが、それからジット俺のことを見つめて、それから口を開く。
「カルマは……最強の魔女。全盛期のアニマでも勝てなかった、唯一の存在」
「……ああ。それはなんとなくわかった。お前達の口調でな。で、アイツが世界を滅ぼそうとしているんだろ? それはマジなのか?」
俺がそう訊ねると、フォルリは小さく頷いた。
「……はぁ。ったく……しかしなぁ……一回倒せたんだろ? そりゃあ、時間が経っているとは言っても、アニマとかフォルリ……それで、トリンデやレーナが強力すれば倒せるんじゃないか?」
「違う! そんな……カルマはそんな簡単な敵じゃない!」
俺は驚いてしまった。いつもは表情が希薄なフォルリが怒ったように叫んだからである。
「あ……ご、ごめん。タイラー」
そして、すぐに悲しそうにフォルリは俺に誤った。アニマではわからなかったがフォルリの反応でわかってきた。
いつも俺の前でとんでもない魔法を使ってきた魔女であるアニマやフォルリ……そんなヤツらがマジでビビっている……それがカルマという魔女の正体なのだ、と。
「御主人様~!」
と、そんな折に、ヴィオの声が聞こえて来た。
「あ……どうしたんだよ? ヴィオ?」
「はぁ……アニマ様が……これを、って……」
そういってヴィオは俺に一冊の本を渡してくる。
「これは……日記か」
それはまさしく、アニマの記憶の集合体である日記であった。




