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邪魔剣カルマ 4

「……あれが、カルマ……か」


 教会に戻った俺たちはしばらく何も言わずに黙ったままだった。


 俺は先程、邪魔眼の瞳に吸い込まれそうになった際の出来事が忘れられず、未だに放心状態だった。


 一体あれはなんだったのか……今までの魔宝具でも体験したことのない恐ろしい体験だった。


 恐ろしいということすらわからなかった。なんとなく恐ろしい何かを感じる……そんな奇妙な体験だったのである。


「……ごめんなさい。皆」


 と、蚊がなくような小さな声で、アニマはそう言った。俺たちは同時にアニマの方を見てしまう。


「アニマ。これからどうするつもり?」


 人間の姿に戻ったフォルリは鋭い口調でアニマに訊ねた。


 アニマは元気なくフォルリに顔を向ける。


「……あの子が何をするか……いいえ。カルマがあの子に何をさせるかは大体わかっている……そのためにも先手を打たないと」


「先手? アイツ、何をするつもりなんだ?」


 俺がアニマにそう訊ねるとアニマは辛そうにしながら俺を見た。


「……完全なる復活よ。身体を総て集める気でしょうね」


「へ……身体って……アニマが殺したんだろう? しかも、百年以上前に……まさか、その死体がまだ残っているっていうのかよ?」


 アニマは俺の質問を否定しなかった。それで、俺はそのありえない出来事が現実として存在していることを理解した。


「マジかよ……それで、死体はどこにあるんだ?」


「……それぞれ、魔法で加護を施した場所にあるわ。でも……カルマにかかればそれも突破できるでしょうね。死体はそれぞれ両手、両足、そして、胴体よ」


「……ん? ちょっと待て。じゃあ、頭は?」


 俺が訊ねると、アニマは悲しそうに俯く。フレイアがアニマの肩にポンと手を置く。


「おそらく、代用するつもりでしょう」


 フレイアは辛そうな顔でそう言った。


「代用……?」


「はい。カルマの死体は死してなお魔力を持った強力な存在です。通常の魔力では破壊することはできませんでした。ですが、頭部だけは、アニマ達魔女が総力をあげて消滅させたのです」


「頭部だけ? っていうか、他の部分は消滅できなかったのに、頭部は破壊できたのかよ……」


 俺がそう言うと、アニマが何か言おうとした。しかし、フレイアはそれを制するように首を横に振った。


「……ええ。アニマ達皆の努力に依る結果です」


「……はぁ。なるほどね。代用ってのは……つまり……」


 俺はなんとなく、カルマを復活させたメンテ自身が危険な状態にあるのではないかと想像していたが、その通りのようである。


「でも、頭部を代用なんてできるのか?」


「……カルマならできるわ。というか、タイラー、あまりわかっていないようだから、1つ言っておくわ」


 普段見せないような、弱気な表情で、アニマは俺を見てきた。


「……カルマにできないことはないわ。彼女は……私の知っている中で最高の能力を持った魔女よ」


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