邪魔剣カルマ 2
「え……あれが……?」
俺は思わずフォルリを見てしまう。
「……カルマに剣に変身する能力なし。つまり、あれは――」
「魔宝具です! 私の最高傑作ですよ! アニマ先輩!」
そういってケタケタと笑うメンテ。
地面に剣を突き刺すと、満面の笑みで俺たちを見る。
「アニマ先輩……私がカルマ様を復活させられないと思ったのでしょうが……甘かったですね。こうしてカルマ様は私の最高傑作として復活したのです!」
大げさな身振りでそういうメンテ。アニマの顔が渋く歪むのがわかった。
「……おい、メンテ。お前だけ喋るな。私に喋らせろ。アニマとのせっかくの再会なんだぞ」
すると、地面に刺さった剣からまたしても声が聞こえてきた。メンテは慌てて剣を抜く。
そして、アニマに向かって剣をつきだした。
「アニマ。相変らず元気そうで安心した。私との最終決戦で怪我をしていたよな? あれは大丈夫だったのか?」
途端に剣は饒舌にしゃべりだした。しかし、対するアニマは苦々しい顔のままで何も言わない。
「それより、あれから100年か。早いものだ。目玉のままだけで生きているのは正直退屈だったぞ。お前のような優秀な魔女は100年の間には生まれなかったようだし……おい。どうしたんだ? 私はカルマだぞ? 信じられないのか? 何か言ってくれ」
剣のおしゃべりが終わるとアニマは大きく息を吐き出した。
「……私の知っているカルマは……死んだはずよ」
アニマが重々しくそう言うとしばらく剣も黙っていた。
「……ああ。私は死んだ。お前に殺されたからな」
そして、しばらくしてから剣もゆっくりとそう返事した。
「じゃあ、なぜ!? なぜアナタの声が聞こえているの?」
アニマは少しヒステリックに叫びながらそう言った。俺たちはただ不安そうにアニマを見ていることしかできず、メンテだけが恍惚として笑みを浮かべている。
「……簡単だ。アニマ。私はこの世界を滅ぼすと言っただろう? それはメンテにも約束したことだ。だからこそこんな姿になってでも復活したんだ」
剣がそう言うと、刀身の目玉がギョロリと動いた。そして、その邪悪な視線は俺の方をまっすぐ見ていた。
「それより……誰だ。アニマ、その男は」
まるで地獄の底から聞こえてくるような恐ろしい声で、剣はそうアニマに訊ねたのだった。




