アニマと黒炎竜 1
「お前の使い魔……ってことは、ドラゴンか?」
俺が訊ねると、アニマは小さく頷いた。
「ええ。私はフォルリやトリンデ、レーナみたいに一緒に住んでいないけど、今もきちんとあの子は私の使い魔よ」
「……なんで一緒に住んでいないんだ?」
俺が訊ねるとアニマは答えにくそうに顔を歪める。
どうやら……何か理由があるようである。
「……とにかく、タイラー。アナタの自由だけれど、私はそろそろあの子にアナタを遭わせてもいいと思っているわ。タイラーは、どう?」
そう聞かれても俺としてはどう答えればいいのかわからなかった。
アニマがこう言ってきているということは、俺がどうするかというよりも、アニマがその使い魔に会わせたいと思っていると考えられる。
ならば、その考えに賛同してやるのもやぶさかではない。
「……まぁ、せっかくだし会ってみるかな。フォルリもヴィオもいいよな?」
2人とも俺が訊ねるとすぐに小さく頷いた。
「……そう。それなら、会いに行きましょう」
そして、俺達は早速地下室の扉へと向かっていった。
アニマが扉に手をかけ、そのまま開ける。
扉の先に見えたのは、人気のない荒れ地であった。
草木も生えておらず、なんだか寂しい風景である。
「……ここに、お前の使い魔がいるのか?」
「ええ。少し歩くわ。さぁ、行きましょう」
そういってアニマは歩き出したので、俺達もその後を続く。
周りは寂れた風景が続いている。どうにも、こんな所に誰かが住んでいるようにも思えない。
そんな折に見えてきたのは、遠くに小さく建っている1つの建物だった。
「あそこね」
アニマがそう言ったので、どうやらそこに使い魔が住んでいるらしい。
しかし、こんな寂れた場所に1人で住んでいるっていうのも、不思議な話だ。
早くも俺はなんだか嫌な予感がしたのであった。




