土魔女と岩竜 6
結局、俺とフォルリ、そしてヴィオは掃除をすることになってしまった。アニマは俺を推薦する立場の魔女であるために、掃除の手伝いはできないらしい。
「……さて、このゴミの山。どこをどう処理すればよいのやら」
レーナの部屋から出てみれば、俺達は待ち構えていたのはゴミの山だ。
どう考えても1日、2日で処理できるような量ではない。俺は始まる前から諦めていた。
「さぁ! 御主人様、はじめましょう!」
しかし、そんな俺とは対照的に、ヴィオはものすごく元気であった。
「ヴィオ……お前、なんでそんなやる気満々なんだよ」
「ふふふっ……ヴィオはこれでも元々ある魔法使いの使い魔で、雑用係だったのです! その人もレーナ様と同じように半ば生活が破綻していました。ですので、これくらいの光景は見慣れているのです」
ヴィオは元気よくそう言う。というか、魔法使いとか魔女とかやっぱり皆そういうヤツしかいないのか……
「でも、どこから掃除するの?」
そんなヴィオに対し、フォルリは心配そうにそう訊ねる。しかし、なぜかヴィオは相変らず自身満々であった。
「ふふふっ……簡単です。フォルリ様、魔宝書に変身してくれますか?」
「え? 魔宝書? いいけど……」
言われるままにフォルリは魔宝書に変身した。
「さて……御主人様。フォルリ様を使って全力で魔法を使って下さい」
「……え? つまり、水を出すってことか?」
「はい。それこそ、全力で水流を!」
ヴィオは力強くそう言う。俺はそのまま右手を前に突き出す。魔宝書が光ったかと思うと、そのまま俺の掌からものすごい勢いで水流が放出された。
水流はそのまま廊下のゴミを押し流していく。まるで大河のようになりながら、ゴミが流れていく。
「おお~……流れていくな」
「でしょう? これで、廊下は綺麗になりましたね」
そうして一通り水流が放出されると、確かに廊下は綺麗になった。
しかし、それはゴミがなくなったというだけで、完全にどこもかしこも水びだしだったのだが。
「……で、この後はどうするんだ?」
俺がヴィオに訊ねると、ヴィオは苦々しく笑った。
「えっと……とりあえず、廊下がビチョビチョなんで、水を何とかすることからはじめましょうか?」
「っていうか、たぶん今押し流したゴミ……玄関の扉の前で貯まっているよな?」
俺がそう言うとヴィオは今気付いたと言わんばかりにポンを掌を叩いた。
俺は思わず大きくため息をついた。
「……まぁ、いい。ヴィオ。お前は水びだしの廊下をなんとかしろ。玄関の荷物は、俺とフォルリでなんとかする」
「あ……ご、ごめんなさい」
申し訳無さそうにそういうヴィオ。さすがにちょっとかわいそうだった。
「……いや。まぁ、こういうのに近道なんてないだろ。それに水で押し流したおかげで役割分担ができた。ここは頼むぞ、ヴィオ」
フォローするつもりで俺はそう言った。
「あ……はい! 御主人様!」
俺の飼い猫は嬉しそうにそう返事したのだった。




