土魔女と岩竜 3
「え……な、なにこれ……」
さすがの俺も絶句してしまった。
屋敷の中は……足の踏み場がなかった。あらゆる所にゴミなのかガラクタなのか……とにかくモノが散乱しているのである。
「おいおい……大丈夫なのかよ」
「ええ。レーナは大体こんな感じで暮らしているわ」
「暮らしているって……こんなゴミの中で?」
アニマは特に動じることもないので、既に知っていることであったらしい。フォルリも同様だが、さすがに少しゴミだらけの屋敷に嫌悪感はあるらしい。
そして、ヴィオはあまりのゴミの多さに顔をしかめていた。
「……で、そのレーナはどこにいるんだよ?」
「大体寝室よ。ベッドに横になっているところしか見たことないわ」
……どうやら段々わかってきた。
わかりたくはなかったが、このレーナという魔女もトリンデと同様に変人のようである。
俺達はなんとかゴミの山の中をかき分けるようにしながら歩いた。そして、階段を上り、屋敷の二階へ進む。
屋敷の二階も同様にゴミだらけだった。どれほど整理されていないのか、ゴミやガラクタには全部埃を被っている。
そして、しばらくゴミを書き分けていると、その先に、少しゴミがあまりない扉が存在した。
廊下には大体ゴミが置かれているのだが、その扉の前だけまるで押しのけたようにゴミがないのである。
「ここね」
そういってアニマはトントンと扉を叩く。
「は~い? 何~?」
扉の向こうから間延びした声が聞こえてくる。
「アニマよ。いるんでしょ、レーナ」
「ああ、アニマか……ネルトゥス。開けてきてよ」
「……嫌だね。お前が開けろ」
「え~……じゃあ、いいや。アニマ。入ってきて」
と、酷くダルそうな会話のあと、俺達は部屋の中に入った。
「うわ……やっぱりか」
部屋の中に入ると、やはり、廊下と同様にゴミがうず高く積まれていたのだった。
「アニマ~。いらっしゃい」
そして、部屋の中心部にはゴミが押しのけられ、ベッドが置かれている。
その上に1人の少女がすわっていた。たった今起きたかのようにトロンとした目で俺達は見ながら、だらしない笑顔をしていたのだった。




