土魔女と岩竜 2
「さて、着いたわよ」
いつものドアを開いた先にあったのは……森だった。
トリンデの例があるのでどんなとんでもない所に連れて行かれるのかと思ったが、予想に反して至極普通の場所に連れて行かれた。
「……普通だな」
「ええ。トリンデがおかしいだけよ。別に私達は魔女は変な場所に好き好んで住んだりしないわ」
アニマもそういって森の中を進む。俺と、ヴィオ、そして、フォルリも先を行くアニマの後について生きながら薄暗い森の中を歩いた。
「で、この森の中に件の魔女は住んでいるのか?」
「ええ。ほとんど森からは出てこないっていう変わり者だけど……悪い子ではないわ」
変わり者……という言葉に俺は少し嫌な印象を受ける。それでも、まぁ大丈夫だろうと俺は思いたかった。
そして、しばらく歩いて行くと、森が少しずつ開けてきた。
「あそこよ。あの屋敷にレーナは住んでいるわ」
そういってアニマが指差す先には、屋敷があった。
だが、屋敷といってもその様子は異様であった。壁には幾重にも蔦がからみ合っており、周りを囲む庭の雑草は伸び放題である。
「……え。マジで? あそこに入るの?」
「ええ。とにかく行きましょう」
そう言うアニマ。俺は思わずヴィオとフォルリを見てしまう。
「あ……レーナ、少しだらしない」
フォルリは困り顔でそう言う。ヴィオも不安そうだった。
とにかくそのレーナに会わなければ話が進まない。俺達はそのまま異様な風体の屋敷に向かって歩いて行く。
そして、草が伸び放題の荒れ果てた庭を通り、玄関らしき場所にたどり着いた。扉は閉まったままである。
「……レーナ! 私。アニマよ!」
アニマは開いていない扉に向かって思いっきり大声で怒鳴った。魔女というのは、皆耳が悪いのだろうか……
と、しばらくすると、いきなり扉がバァンと勢いよく開いた。
「……え? な、何?」
俺とヴィオが驚いていると、アニマは大きくため息をついた。
「……入って良いってことみたいよ」
アニマも呆れ顔でそう言っていた。とにかく、魔女の屋敷への扉は開かれたようだった。




