土魔女と岩竜 1
「……なるほど。それで私とフォルリは気絶していたってわけね」
次の日。俺とヴィオ、そして、フォルリはマジック・ジャンクに向かった。
アニマは無表情のままで俺とヴィオを見ている。
「あ……本当に、ごめんなさい……」
ヴィオは申し訳無さそうに何度目かわからない謝罪をした。フォルリは既に道中で気にしていないといってヴィオのことを許している。
「そうねぇ……普通なら主人に逆らった使い魔なんてものは処分していまうのだけれど……」
わざとヴィオが恐怖するようにしているのか、嬉しそうな顔でそう言うアニマ。
「……どう? タイラー?」
「別に……まぁ、俺にも悪いところはったと思うし……」
「……なるほど。まぁ、主人であるタイラーがそういうのなら、私も気にしていないわ。それに、子猫ちゃんが『私』に変身したってことも、含めて許してあげる」
「へ? ど、どういうことですか?」
すると、アニマはなぜか嬉しそうに俺のことを見る。なんだか少し不気味な感じだった。
「変身だとしても、私の姿である子猫ちゃんとタイラーはお茶をした……そいうことよね?」
「え……あ、ああ。そうだな……」
「でしょ? だったら、いいじゃない。私としてはその事実ができたことに満足だわ。もっとも、私自身が行けなかったことは残念だけれど」
「え……アニマ。お茶にいきたいのか?」
俺がそう訊くと、アニマは不満そうに俺を見る。
「……そこじゃないわ。まったく、鈍感なんだから……」
よくわからなかったが、ヴィオは許されたようである。これで一安心である。
「良かったな。ヴィオ」
「……はい! 御主人様!」
嬉しそうにそういうヴィオ。
「良くないわ。さぁ、すぐに魔女の認定を貰いに行くわよ」
そういって既に外出の支度をしているアニマ。
「次の魔女……どんなやつなんだ?」
「レーナ・ムーサ。トリンデよりは普通の女の子よ。ちょっとのんびりしているのがたまに傷だけど」
「へぇ……フォルリは?」
俺がそう訊くとフォルリは苦笑いする。
「アニマと同じ。レーナ、のんびり屋」
なんだ。案外大丈夫そうだ……俺は楽観的にそう考えた。
今回は前回のように嫌な予感はしない……きっとのんびりとした魔女なんだろう。認定もすぐに出してもらえる。
そんな風に俺はこの時点では考えていた。
無論、それは楽観的すぎる考え方だったのだが。




