黒猫の反乱 3
「……で。街に来たはいいが……なんで俺達は街に来ているんだ?」
「え……えへへ……」
まるで子供のように微笑むアニマ……らしき存在。
どう考えてもアニマではない。言動、行動……すべてがアニマではないと断言できる。
そうなると可能性は2つである。1つはコイツが魔宝具によって生み出された存在である可能性。
しかし、俺は今日マジック・ジャンクに来てから魔宝具に触れていない。そうなると、この可能性は低い。
そうなるともう一つの可能性……というか、おそらくその可能性しかないと思う。
「……で、何がしたいんだよ?」
「え……えっと……お、お買い物とか?」
そう言われて俺は大きくため息をついた。
フォルリはとりあえずマジック・ジャンクで寝かせておいた。しばらくすれば目を覚ますだろう。
それまでこのアニマらしき存在に付き合ってやるべき……なのだろうか。
「分かった。じゃあ、見に行くだけだぞ?」
俺がそう言うと嬉しそうにアニマのような存在は頷いた。
それから俺とアニマの姿をしたものは市場を見たり、街の中でぶらぶらしたりした。本物のアニマとはおそらく永遠にやらないであろうことをやってみた。
ただ街の中を散策しているだけというのに、なぜかアニマのらしき女の子はものすごく嬉しそうだった。
おそらくこんなことしたことないからだろう……もっとも、俺はいつまでもこれに付き合ってやるつもりもなかったが。
「あ、そうだ。アニマ。最後に行く所があるぞ」
俺は楽しそうにしているアニマに向かって不意にそう言い放った。
「え? どこですか?」
キョトンとしてそう言ってくるアニマの姿をしている者……既に口調さえも真似することを忘れているらしい。俺は大きくため息をつきながらソイツの手を引っ張った。
「とにかく、さっさと行くぞ」
そういって俺は狭い路地をアニマの手を引きながら進んでいく。そして、辿り着いたのは……
「あ……こ、ここは……」
俺は意地悪くニヤリと微笑んでみる。
「ああ。キンケイドの店だな」
アニマの姿をした誰かさんは、ものすごく嫌そうな顔で俺を見てきたのであった。




