黒猫の反乱 1
「で、後1人魔女から認定を貰えば、正式に魔法使いになる、と」
朝飯を食べながら、俺はセピアに今までのことを話していた。
「ああ。これで俺も晴れて身分のある人間になるってことだな」
「身分のある人間のぉ……魔法使いっていうのは、遊び人と大して変わらないような気もするがな」
身も蓋もないことを云うセピア。しかし、まぁ、ここまで来てしまった以上、魔法使いになる以外の選択肢はちょっと考えられない。
「とにかく、俺は魔法使いになるわけだ。っていうか、セピア。魔法使いになったら、何か変わるのか?」
「う~む……魔宝具を売買することができるのぉ」
「え……そうなの?」
「そりゃあそうじゃろう。あの店主だって、魔女だから魔宝具を取り扱って居るのじゃ。まぁ、もっとも別に魔法使いだろうとなかろうと、勝手に魔宝具を売買している輩は大勢いるがのぉ」
……つまり、今までと何も変わらないということらしい。大方予想はついていたが、なんとも残念な話だった。
「タイラー。そろそろ行くべき」
と、隣に座っていたフォルリが俺にそう言ってっきた。
「ああ。そうだな。よし。じゃあ、行くか」
「頑張るんじゃぞ。ああ、そうそう。主よ。くれぐれも、使い魔のことは大事にするんじゃぞ?」
「は? なんで?」
俺がそう訊ねると困り顔でセピアは俺を見る。
「なぜって……使い魔は魔法使い、魔女の相棒のようなものじゃ。使い魔との信頼関係があってこそ、魔法使いと言えるのじゃよ。それに、使い魔という種類の生き物は魔女に似て面倒な性格のものが多いと聞く。主の使い魔は猫じゃろう? きちんと、相手をしてあげないと拗ねてしまうぞ?」
セピアがニヤニヤしながらそう言う。
俺はそういうことは早く言ってほしかったと心底思ったのであった。




