雷魔女と風竜 6
「テスト……こんな丸っこいものでテストなんてできるのか?」
「ああ。これは「真実玉」という魔宝具だ。魔宝具といっても、私が作った、私の魔法……つまり、電気で動く物体というわけだね」
そう言い終わると、満足したようにトリンデは近くにあった椅子に座った。
「さて、さっそく始めさせてもらいたいのだけれど……アニマ、フォルリ。私のやり方に異存は?」
トリンデがそう訊ねると、アニマもフォルリも首を横に振る。どうやら、これが俺が認定されるかどうかの試練になっているようである。
「……よし。で、これはどうやって使えばいいんだ」
「ただ握っているだけでいい。それで君の体温や血圧、脈拍等の変化をその玉が図って、君が嘘をついているかどうか判断するのさ」
「へぇ……これ、アンタが作ったのか。中々すごいじゃないか」
「お褒めに預かり光栄だね。でも、本当にそう思っているのかい? 君は私のこと、変人だって思っていたんじゃないのかい?」
「え……そ、そんなことはないけど……」
その瞬間だった。玉を握っていた掌から瞬時にしびれるような感覚がやってきた。そして、それが次の瞬間には、痛々しい電撃だと俺は理解した。
「ぎゃあああ!」
「タイラー!」
アニマの叫び声が聴こえる。
俺は軽くしびれていたが、なんとか意識は保っていた。
「な、何だいまのは……」
「フフッ。ああ、言い忘れたね。それは嘘だと判断すると、君に電流を流す仕掛けになっている。一度や二度では死なないが……分かるね?」
そういって俺のことを見るトリンデの視線は、既に危険な色を孕んでいた。
やはり、魔女という人種はどこかおかしい……俺はそう確信したのだった。




