雷魔女と風竜 1
そして、次の日。
昼頃には既に俺とフォルリはマジック・ジャンクにやってきていた。
マジック・ジャンクにも既にアニマとヴィオが待機していた。
アニマに関しては既に外出用の格好をしていたので、どうやら準備は完了しているようだった。
「で、どうするんだ?」
俺がそう訊ねると、アニマはニヤリと微笑んだ。
「もちろん、今日も魔女に認定を貰いに行くのよ。ヴィオも今日は遅くなるってキンケイドさんに行ってきたらしいし、心配はないわね」
そういってアニマはヴィオのことを見る。ヴィオは苦笑いでそれに返していた。
「……で、俺が次に認定を貰うのはどんな魔女なんだ?」
「ああ、そうよね。まぁ、遭ってみればわかるわ。大丈夫。私みたいな普通の人よ」
それを聞いて俺はすぐに嫌な予感がした。そして、思わずフォルリのことを見る。
「アニマ、もしかして、トリンデに会いに行くの?」
「ああ、よくわかったわね。トリンデとレーナ、どちらに先に会いに行こうか悩んでいたんだけど……まぁ、トリンデの方がタイラーも親しみ易いと思うから」
アニマのその言葉を聞いて、フォルリは少し困り顔でアニマを見た。
「……トリンデ、タイラーのこと、ちゃんと認定してくれる?」
「え? ああ、それなら心配いらないわ。この前の休暇中にトリンデの話は通してあるから……ほら、さっさと行きましょう」
そういってアニマはトントンと地下室の扉を叩いた。
「あの……御主人様。ホントに、大丈夫なんですか?」
俺に聞こえるくらいの小さな声で、ヴィオは俺に話しかけてきた。
「……まぁ、たぶん、大丈夫だと思うが……ところでフォルリ」
「何、タイラー」
「その……トリンデって、お前も知っているのか?」
俺がそう言うとフォルリは益々困り顔で俺を見る。
「……知り合い。よく知っている。でも……少し困った人」
「あはは……まぁ、俺の知っている魔女ってのは大体困った人だから問題ないさ」
「……それ、私も含まれている?」
と、フォルリが少しムッとした顔でそう言ったので、俺は慌てて首を横にふる。
「ふぉ、フォルリは別だって……で、そのトリンデってのはどんな魔女なんだ?」
俺がそう訊ねると、フォルリは小さくため息をついてから、遠い昔を思い出すような表情で先を続ける。
「……トリンデ・ブリュンヒルデ。またの名前を『激昂する紫電』……雷を操る、ちょっと変わった魔女」




