表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中古魔宝具販売店「マジック・ジャンク」  作者: 松戸京
魔法使いへの道 水の魔女編
158/251

水魔女と水龍 4

「え……これが……ルサールカ?」


 俺は思わずアニマの方を向いて、そう訊いてしまった。


 フォルリに似ているといっても、それは雰囲気だけだ。


 美しい青い髪に、冷たい感じさえする青い瞳……ちょっと普通の女の子とは思えない容姿は、さすがに本モードのフォルリの中から出てきただけのことはある、といった感じだった。


「……さぁ。フォルリ。そうなの?」


 アニマがそう訊ねると、俺が持っていた本の姿のフォルリは変化し、人間の姿に戻った。


「そう。その子、ルサールカ」


 フォルリは特に動じる様子もなくそういった。フォルリが人間に戻ると、ルサールカはフォルリの影に隠れた。


「へぇ……ドラゴンって人間になれるのか」


「ええ、そうよ。別にルサールカが特別ってわけじゃないわ」


 アニマはそういってまるで常識のようにそういう。俺にとってはいきなり本から人間が現れている時点でかなり驚きなのだが。


「それはそうと、ルサールカ。早くドラゴンの姿になってくれるかしら? 子猫ちゃんにドラゴンがどういう姿をしているか見せてあげないと」


 アニマがそう言うと、フォルリの影に隠れていたルサールカは、窺うようにフォルリの事を見る。


「ルサールカ。お願い」


 フォルリがそう言うと、ルサールカはフォルリの影から出てきた。


「……1つ、聞きたいことある」


 と、なぜかルサールカは俺の前に出てきて、鋭い目つきで俺のことを見た。


「あ、ああ。なんだ?」


「……アナタ、フォルリのこと、どう思っているの?」


「……へ?」


 俺が困惑していると、なぜかフォルリの方が顔を真っ赤にしてルサールカに近づいていった。


「ルサールカ……余計なこと、言わないで」


「でも、フォルリ……アナタは、言いたいことをはっきり言わない性格……ここではっきりさせるべき」


 2人はなぜか小声で言い争っているようだった。俺にはどうして突然言い争い始めたのかよくわからなかったが……


「フォルリ。その……ルサールカ、ドラゴンになってくれないの?」


 アニマの少しイラ付いた調子の声で、フォルリは我に返ったようだった。恥ずかしそうにしながら俺のことを見る。


「あ……ルサールカ。お願い」


 フォルリがそう言うと、ルサールカは呆れたように大きくため息をついた。そして、次の瞬間には、少女の身体は一瞬にして水のような状態になった。


 さらにそれがどんどん巨大化していったかと思うと……あっという間に、前に俺が見たような青い肌の巨大な竜の姿になったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ