水魔女と水龍 3
「え、えっと……それじゃあ、ヴィオはこれで……」
「待ちなさい」
と、どさくさに紛れて帰ろうとしたヴィオを、もちろんアニマは静止した。
ヴィオはものすごく嫌そうな顔で俺とアニマを見る。
「……え~……で、でも、ドラゴンなんていないじゃないですか」
「いるわよ。ほら、フォルリ。本になって」
アニマに言われるままに、フォルリは瞬時に本の姿になる。
俺は本になったフォルリを手に取った。
「タイラー。ルサールカを召喚して」
本になったフォルリは唐突にそんな無理難題を言ってきた。
「え……ど、どうやるんだよ。この前は無我夢中だったし……」
「簡単。ルサールカに出てきて欲しい。そう思うだけでいい」
よくわからなかったが、俺はいつもしているように、右手を前に出し、心の中でなんとなく水龍を召喚したいと願った。
すると、本の姿をしたフォルリが少しずつ輝きだした。なんとなくだが、行けそうな気がして俺はその後も強く召喚を心から祈った。
すると、フォルリの放つ輝きが一層強くなった。
「よし! 出てこい! ルサールカ!」
俺は思わずテンションが上がりすぎてそう怒鳴ってしまった。
すると、フォルリの輝きが俺を包むと同時に、本から大量の水が発射された。
そして、発射された水はみるみる内に何かを形作っていく。そう、それはまさしくこの前見た巨大の竜の姿……
「……へ?」
では、なかった。
水が形作ったのは、小さな女の子の姿だった。
「……え? えっと……君は?」
「……召喚していて、失礼……私、ルサールカ」
どことなくフォルリに似た喋り方をする女の子は、不機嫌そうにそう言ったのだった。




