水魔女と水龍 1
「……で、まずはどの魔女に会いに行くんだ?」
「う~ん。そうねぇ。まぁ、今日いきなりっていうのもさすがに不味いと思うから……まずは一番近くにいる魔女に許可を貰うべきじゃないかしらねぇ」
そういってアニマはチラリとフォルリの方に顔を向ける。
「……なるほど。確かに、私、一番近い魔女」
そういってフォルリはアニマの方を見てから、俺の方を見た。
「え、えっと……フォルリ。ホントにいいのか?」
さすがの俺も、いきなりのことにあまり対応できていなかった。
俺がそう訊くと、フォルリはニッコリとぎこちなく微笑んだ。
「問題、ない。私は、タイラーに魔法使いとしての資格、十分にあると考える」
フォルリにそういって貰って俺は思わず安心してしまった。
でも、むしろ魔法使いなんて別になりたくもないのに、許可なんて貰ってしまうのはよく考えれば良くないことだったのかもしれないが……フォルリがいいと言ってくれるのだし、良しとするべきである。
「そう。じゃあ、フォルリ。タイラーに魔法使いとしての資格を与えるということで良いのね?」
「……待って。1つ、条件ある」
と、不意にフォルリがきっぱりとそう言った。アニマと俺は思わずフォルリの方を見てしまう。
「条件……何かしら?」
意外な発言に、アニマは怪訝そうな顔でフォルリを見た。
「……アニマ。なぜ、タイラーに魔法使いとしての資格を与えようとしている? それ、聞くこと、条件」
いつものフォルリとは違う、はっきりとした態度で、フォルリはアニマにそういったのだった。




