魔法使いの条件
「……で、魔法使いになるにはどうすればいいんだ?」
道端でアニマ、ヴィオと合流した俺とフォルリは、マジック・ジャンクに着くと、先程のアニマの話を訊ねることにした。
「簡単よ。1人の魔女の推薦と、3人の魔女から許可を得れば魔法使いとして正式に名乗ることが出来るのよ」
「え……魔女や魔法使って、名乗るのに資格が必要なのか?」
「ええ。もっとも、私やフォルリのような正式な魔女としての資格を持っているのは少数で、ほとんどの魔女や魔法使いは勝手に自称しているだけなんだけど」
初めて知る事実に、思わず俺はアニマとフォルリを見る。
そもそも、魔女とか魔法使いってのは過去の歴史からあまり良く思われていない節があったが、名乗るのにも実は資格が必要とは驚きだった。
「で、推薦人はもちろん私よね。後は3人の魔女よね……1人はフォルリでいいとして、後の2人……」
「……あてはあるのか?」
俺が不安げにそう訊ねると、アニマは得意気に微笑んだ。
「ええ、もちろんあるわ。それもとっておきの知り合いがね」
アニマは得意そうな顔でそう言った。アニマがこういう顔をする時というのは、大抵ロクなことが起きない時なので、俺は少し不安になった。
「アニマ、だったら、私、さっそく許可を与えたい」
アニマがそういった後、すぐさまフォルリは俺にそう言った。
「落ち着きなさい。フォルリ。今の話はタイラーの話よ。もちろん、一流の魔法使いには一流の使い魔が必要……そう思うわよね?」
そういってアニマはヴィオの方を見る。ヴィオは、蛇に睨まれた蛙のように縮こまった。
「え……えっと。私は何をすればよいのでしょうか?」
「簡単よ。子猫ちゃんも3人の魔女の使い魔から、タイラーの使い魔としての許可を受ければよいのよ」
「え……アニマ。それって……」
と、そこへフォルリが不安そうな顔でアニマを見る。
「ええ。わかっているわよ。でも、子猫ちゃんにはちゃんと私達の使い魔が許可を下ろすような能力があるじゃない」
ニヤリと口の端を釣り上げてアニマはヴィオを見る。
「お……おいおい。アニマ。さっきから話が見えないんだが……お前はヴィオに何をさせようとしているんだ?」
すると、なぜかキョトンとした顔でアニマは俺を見る。
「何って……簡単よ。子猫ちゃんにはこれから、ドラゴンになってもらうのよ」
アニマは平然として顔でそう言ったのだった。




