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重いペンダント 4

「……はぁ? お、お前……何言っていんの?」


 さすがに俺も頓狂な声で答えざるを得なかった。


 しかし、本の姿のままのフォルリは黙ったままである。


「え……表紙って……え……お前……」


「……ダメ?」


 フォルリは俺にそう訊いてくる。


 ダメ……ではない気もする。


 考えてみれば、フォルリといえど、その姿は今は本である。本の形をしているのだ。


 もし、これが人間の姿をしている状態であれば、俺も結構戸惑うだろうが、本だったら問題ない……気がする。


 そもそも、今俺はベッドの中にフォルリを抱きかかえたまま横になっているのだ。これが人間の姿のフォルリだったら、相当大変なことである。


「あー……その、なんだ……ダメ、というわけではないのだが……」


「じゃあ、良い?」


「で、でもなぁ……」


「……やっぱり、タイラー。フォルリ、じゃ、ダメなんだ……」


 と、次の瞬間には、フォルリから予想外の言葉が発せられてきた。


「え……な、なんだって?」


「……タイラー、アニマだったら、躊躇わない。そうでしょ?」


「はぁ? アイツと? お、おいおい……冗談はよしてくれてよ……」


「だったら、キス、所望する」


 フォルリは強い調子でそう言ってきた。


 なんだか調子が狂う……そもそも、どうして今日フォルリはこんなにも積極的なのだ。


 それも、あの変なペンダントを付けてから……


「あ……もしかして……」


「タイラー。早く、答えて」


 フォルリがこんな風になっていることの理由がわかった気がしたが……それと同時に、フォルリの希望に答えてやらないと、事態は解決しないこともなんとなくわかってきた。


 俺はそのまま何も言わず、そっと、本の姿のフォルリの表紙に、優しく口づけしたのだった。

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