代替召喚書 3
「できた。これ、アニマの代わり」
そういって、フォルリは得意げに先程突如として表れたアニマを俺とセピアの下へ連れてきた。
「ふむ……代替としては良く出来ておるのぉ」
「当然。私、召喚魔法書、扱い、得意」
フォルリはそういって俺の方を観る。
「タイラー、何か話しかけてみて」
「え……あ、ああ。えっと……アニマ、なんだよな?」
俺がそう言うと、アニマ……らしき少女は俺の方をキョトンとして見てきた。
「アニマ。タイラーに、挨拶する」
まるで母親がそう言い聞かせるかのように、フォルリはアニマ……の代わりにそう言った。
「……どうも、タイラー」
「え、あ、ああ……お前は……アニマ、なんだよな?」
「そう。私、アニマ……の、代わり。タイラーの好きにして、良い」
と、代替アニマがいきなりとんでもないことを言い出したので、俺は思わず面食らってしまった。
思わずそのままフォルリを観る。
「あ……その……喋り方、少しフォルリに似ているのは……フォルリの髪の毛を使っているから……」
恥ずかしそうにそういうフォルリ。
「そ、そうなのか……」
俺が戸惑っていると、代替アニマは急にニッコリと微笑んだ。
「タイラー。一緒に、お茶、しましょ」
「え……あ、ああ」
と、いきなり代替アニマは俺の手をひいて走りだした。
なんだか、不思議な気分だった。
アニまであって、アニまではない……確かにこんなことをアニマは絶対にしないからである。
「ん? どうしたの? タイラー」
「え、あ、ああ……いや、なんでもない」
俺が戸惑いながらも微笑むと、代替アニマは、アニマが絶対できない自然な天真爛漫な笑顔で俺に微笑みかけたのだった。




