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代替召喚書 1

「……はぁ」


 その日も、アニマは帰ってこなかった。


 いつになったら帰ってくるのか……俺としては少し不安になってきた。


 もしかするとそれなりの日数帰ってこないのでは……俺はにわかに不安になってくる。


「ったく……アイツ、ホントに帰ってくるんだよな?」


 俺は思わず近くにいるフォルリに尋ねてしまう。商品が被った埃をハタキで落としていたフォルリはキョトンとした顔で俺を見る。


「タイラー、アニアに、会いたい?」


「はぁ? いや、そういうわけじゃねぇけど……なんというか……このまま帰ってこなかったら困るだろ?」


 俺がそう言うとフォルリは少し腕組みをした後で、先程まで埃を払っていた辺りの商品をかき回し始めた。


「お、おい。フォルリ。何やってんだ」


「確か……ほら、これ」


 そういってフォルリは商品の下から何やら古びた本を取り出してきた。


「……なんだそれ」


「これ『代替召喚書』。アニマの代わり、召喚できる」


「……はぁ? アニマの……代わり?」


 俺がそう言うとフォルリはコクリと頷いた。


 代わり……よくわからないが、分身が召喚できるということなのだろうか?」


「……待て待て。それ、前にそれに似た魔宝具を俺は見たことあるぞ」


「『人真似の偽典』とこの魔宝具、異なる。これは、アニマに似て非なるアニマ、召喚可能」


 フォルリにそう言われ、俺は少し戸惑ってしまった。


 確かに、魔宝具……特に本に関する知識はフォルリの方が多そうである。


「そうか……ま、暇だし、やってみるか。で、それ、どうやって使うんだ?」


 俺が訊ねると、フォルリは何やら近くにあった紙切れになにかを書いてきた。


「これ、市場で買ってきて」


 そういってフォルリは俺に紙切れを渡してきた。


「……え? こんなんでいいのか?」


「そう。セピアも買い物、行くと言ってた。一緒に買って来るべき」


 俺はそういって店の奥でお茶を飲んでリラックスしているセピアを観る。


「ん? なんじゃ、主よ」


「あ……えっと、セピア、買い物、行くか?」


 いきなりの俺の申し出にあまり理解できていなかったセピアだったようだが、別に断る理由もないことに気付いたようである。


 結局、そのまま俺とセピアはフォルリを家に残して近くの市場に出かけたのだった。

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