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家族の形 1

「……で、その猫、飼い主、捜索中」


「ああ、そうだ」


 家に帰ってくると、フォルリが疑わしげな目つきで俺のことを見てきた。


 考えてみれば、フォルリには今回のことを何も話していない。


 話したほうがいいのだろうが……話したら絶対に自分も事に関わろうとすると思う。


 俺としては、できるだけあまりこの事件に関わる人間の数は少なくしたいのである。


 だから、ヴィオにも、フォルリとセピアの前では普通の猫いるように言い聞かせてあった。


 そして、俺はフォルリとセピアに対して、ヴィオのことはたまたま見つけた捨て猫だと説明したのである。


 その捨て猫の新しい飼い主を探している……そんな他愛の無い案件を、無理やりアニマに押し付けられたのだと、さも面倒くさそうに言ったのだ。


「しかし……不思議な猫じゃのぉ」


 と、俺が一通りの話をすると、セピアがヴィオのことをマジマジと見つめてそう言った。


 俺は思わずドキリとする。


「え……ど、どういうことだ?」


「ん? ああ、いや、不思議な感じのする猫じゃ、と言っただけじゃよ。特に意味はない」


 セピアはわかっているのかいないのか、俺にそう言った。


 なんだか妙に心臓に悪い状況であった。


「……飼い主探し、フォルリも手伝い、所望する」


 そして、フォルリの方は案の定そんなことを言い出した。


「え……い、いいよ、フォルリ。こんなくだらねぇことは俺一人でやるからさ」


 それでもフォルリはまだ俺のことを信用していないようで、ジッと俺のことを見てくる。


「……ホントに、一人?」


「え……ほ、ホントだよ! アニマのヤツがこんな面倒くさそうなこと、一緒にやるわけないだろ?」


 そういうとフォルリは納得したようだった。アニマがぐうたらであったおかげである。


 俺はその場にそれ以上いるのは危険だと判断し、いきなり立ち上がった。


「あ……え、えっと……とにかく! この猫は俺がどうにかする! だから、お前らは心配しなくていいからな!」


 あまりにもお粗末にそう誤魔化すと、俺はそのまま自分の部屋に急いで戻ったのだった。

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