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封じられた過去 3

「魔宝具……なるほど。その魔宝具の暴走によって、タイラーは家と家族を失ってしまったというわけね」


「……いや、まぁ、そういうことになっている、ってだけだ」


 俺がそう言うとアニマは怪訝そう顔をした。


「……どういうこと?」


「だから、言っているだろう。わからないんだ。詳しい事は何も。ある日突然それは起こった。だが、目に見えてそれは大きな異変だった……それだけなんだ」


 俺が心から何もわからないことを伝えると、アニマも納得したようだった。


「いいわ。直接行って確かめてみましょう」


「え……い、行くのかよ」


「ええ。もちろん、タイラーには付いてきてもらわないと。どこにアナタの家があるのか知らないし」


 アニマの様子を見ると、マジで俺の家に行こうとしているようだった。俺はアニマがいつもしているように大きくため息をついてしまった。


「……わかったよ。行けばいいんだろ」


 俺が渋々そう言うと、アニマは満足そうに頷いた。


「わ、若様……お屋敷に戻られるのですか?」


 キンケイドが信じられないという顔で俺を見ている。


 そりゃあ、キンケイドが今まで何度も言っても聞かなかった俺が、アニマに言われて行こうとしているのだ。驚くのも分かる。


「……勘違いするな。あの家には戻らない。この魔女が興味を持ったからそれに付き合うだけ……それだけだ」


 俺がそう言うと、キンケイドは動揺しながらも、アニマに近づいていく。


「ま、魔女様……どうか、若様を……」


 アニマの前に跪き、キンケイドは振り絞るような声でそう言った。


「ええ。もちろん。いつも面倒は見てあげているから大丈夫よ」


 アニマにそう言われ、キンケイドは安心したようだった。


「……で、そこのお前ももちろん、付いてくるんだぞ」


「え!? ヴィオもですか!?」


 いつのまにか店の扉に手をかけていたヴィオは、気まずそうな顔で俺とアニマを見た。


「ええ、元はといえばアナタが招いた事態、そもそも、タイラーの使い魔になるのなら、主人に着いて行くのは当たり前じゃないかしら?」


 ヴィオは不満そうに俺を見る。俺としても、この子猫を見つけなければこんなことにはならなかったのだと、運命の悪戯を呪ったのだった。

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