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間抜けな黒猫 6

「……はぁ」


「ご、御主人様! 元気を出して下さい! ヴィオは働きものです! なんでもしますよ!?」


 結局、俺はヴィオの処遇をどうにかしなければならなくなった。


 アニマはというと「街に来たからついでに買い物に行く」とか言って勝手にどこかに言ってしまったのである。


 で、ヴィオを押し付けられたのは俺、というわけである。


「……お前、働きものってなぁ。だったら、どうして前の御主人様に捨てられたんだよ?」


「え……えっと、それは……」


 ヴィオはしばらく口ごもっていたが、やがて勘弁したように大きく背中を落として俺を見た。


「……ヴィオ、おっちょこちょいなんです」


「おっちょこちょい……?」


「ええ……塩とか砂糖間違えたり……お皿を割っちゃったり……あの日は、御主人様の催事な魔宝具を壊してしまって……それで、御主人様が怒ってヴィオは捨てられちゃったんです」


 それを聞いて俺はようやく、やはりヴィオが捨てられたということを理解した。


「なるほど……それで、困って偽魔宝具を売り始めた、と」


「はい……でも、ヴィオ。言われたことはちゃんとできるんです! 御主人様はヴィオに御仕事をたくさん言いつける方でしたから……」


 そういって悲しそうにうなだれるヴィオ。


「うーん……そうだなぁ。おっちょこちょい……まぁ、でも、言われればちゃんと仕事、出来るんだよな?」


「はい! ヴィオ、言われた仕事はキチンとやります!」


 そういって目を輝かせるヴィオ。


 実は俺には少し算段があった。この捨てられ使い魔を有効活用できる場所。


 ……もっとも、俺はあまり、その場所に行きたくなかったのだが。


「……よし。わかった、俺について来い」


「え? お家に連れて行ってくれるんですか!?」


「違う。アニマが言ったとおりだ。お前は働け。この街ではお前みたいなヤツでも働ける場所があるんだよ」


 そういって俺はスタスタと歩いて行く。その直ぐ後を、まるで小さな子供のようにヴィオはトコトコと付いてくるのだった。

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