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間抜けな黒猫 5

「嫌よ」


 必死な様子で訴えたヴィオに対し、アニマは取り付くシマもない感じではっきりとそう言った。


「あ……ですよね」


「大体、アナタ、何が出来るの?」


「……その……人間に変身することができます」


「それだけ?」


「そ、それだけって……一度見た人間なら誰にでも変身することができますよ!? すごくないですか?」


 そういって精一杯自分の長所をアピールするヴィオ。


 しかし、アニマはまるでそれに興味がないようだった。


「ダメね。そもそも、私、契約している使い魔がいるから」


「え? お前、使い魔なんていたか?」


「ええ、いるわよ。近くにはいないけど」


 アニマの言っていることは能く分からなかったが……とにかく、アニマはヴィオを使い魔にするつもりはないようである。


「仕方ねぇ……ああ、そうだ。フォルリはどうだ? アイツ、使い魔いなかっただろ?」


「……タイラー、見たでしょ。あの子は自身の中に水龍ルサールカを閉じ込めているのよ」


「え? ああ……そういえば、龍も使い魔だったか」


「え? り、龍!?」


 すると、ヴィオは少し怯えた様子で俺とアニマを見た。


「そうよ。上級な魔法使いの使い魔といえば、龍よ。アナタの御主人様はあまり魔法使いとしては上級ではなかったようね」


「え、ええ……まぁ……で、でも! アタシ、とにかくお役に立ちますから!」


 ヴィオは必死に訴える。その様子だけ見ると、確かになんだか可哀想に思えてきた。


「そうねぇ……まぁ、こういう流れとなると、誰が引き取るか、わかっているわよね?」


「え? ……お、おい、ちょっと待て。もしや……」


 俺が最後まで言い終わらない内に、アニマはニッコリと微笑んだ。


「可哀想な捨て猫、引き取ってあげるべきじゃないの。魔法使いさん」

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