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間抜けな黒猫 4

「……使い魔?」


 俺が思わずそう訊ねると、目の前の少女は小さく頷いた。


 少女がフードを脱ぐと、頭の上に黒い猫の耳のようなものが二個くっついていた。


「ええ。使い魔……つまり、魔女や魔法使いの小間使い……それがこの子猫ちゃんね」


「えっと……じゃあ、コイツは、猫なの?」


「ええ。猫よ。それも少し魔法が使える猫……まぁ、あまり上級の魔法が使えるような使い魔ではないみたいだけれど」


 アニマがそう言うと、少女はムッとした顔でアニマを睨んだ。


「失礼ですね……大体、アタシにはヴィオって名前があるんです。コイツ、とか、子猫ちゃんって呼ぶのはやめて下さい」


 憮然としてそういう少女……ヴィオ。


「はぁ……で、ヴィオよ。なんで、お前は、偽物の魔宝具なんて売っているんだ?」


 俺が思わずそれを訊ねると、ヴィオは黙ってしまった。


「そりゃあ、飼い主に捨てられたら、どうにかして生計を立てていかなければならないものね」


「え? 捨てられた?」


「そうよ。使い魔というのは魔法使いや魔女が、契約することで生まれる生き物ですもの。その契約主がどこにも見当たらないということは、捨てられたってことよね」


 すると、ヴィオは悔しそうにした唇をかみながら俺とアニマを交互に見ていた。


「……アタシは……できることはやったつもりです。でも、御主人様は、私のことを使えないヤツだ、って……」


「それで、捨てられたのか?」


 俺がそういうと、ヴィオは小さく頷いた。


「だからって、偽魔宝具を売って生計を立てるのは感心しないわね。何か別のことをして生計を立てなさい」


 アニマがぴしゃりとそう言うと、ヴィオは顔をあげて、懇願するような目でアニマを見た。


「あ、そ、その……魔女様! お願いです、アタシと……このヴィオと契約してもらえないでしょうか?」

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