表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/251

心配事

「……で、あの日はどうだったのじゃ?」


 アニマの家に泊まった日から少し経ったある日、セピアが朝食時に俺に訊ねて来た。


「どうだったって……何が?」


 俺が不思議そうに訊ねると、セピアは不満そうに俺を見る。


「決まっておるじゃろう。店主とはどうだったのじゃ、と聞いているのじゃ」


 俺は今ひとつセピアの質問の意味がわからなかったので、思わず眉間に皺を寄せてしまう。


「だから……どうだった、ってどういう意味だよ?」


 俺がそう言うとセピアはキョトンとした顔で俺を観る。それから、何かを諦めたように小さく息を吐いた。


「そうか……まぁ、そうじゃろうと思っておったけどのぉ」


「は? 何が言いたいんだよ」


「ああ、いや、主よ。別に変な意味は無いのじゃ。ただ、あまりにもフォルリが心配するものでのぉ」


 セピアがニヤニヤしながらそう言うと、俺の隣で飯を喰っていたフォルリの手の動きが止まった。


「心配って……何を心配していたんだ? フォルリ」


 俺が訊ねると恥ずかしそうにフォルリは俺から顔を反らす。


「……別に、心配、して、ない」


「それは嘘じゃろう。夜の12時を回ってから泣きそうな顔で我等にマジック・ジャンクに主を迎えに行こうと言い出したのは、どこの誰じゃったかのぉ……」


 と、セピアがそう言うと、フォルリはいきなり立ち上がった。


「わ、私……食事、終了する」


「え? おい、フォルリ。まだ残ってるぞ?」


 しかし、フォルリはそのまま振り返りもせずに、物置部屋の方に歩いて行ってしまった。


「なんだ……フォルリのヤツ、どうしたんだ?」


「ふふふ……魔女というのは、厄介な人種ということじゃよ、主よ」


 セピアはなんだか意味深なことを言って、怪しく微笑んだのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ