この世界と魔女について
かつて、この世界では戦争があった。
戦争は壮絶なものであった。多くの人が死に、多くの街が破壊された。
戦争に大きく貢献したのは、魔女であった。
龍を操り、魔獣を駆使する彼女たちをどれだけ多く召し抱えられるか……それが国同士の戦争の勝敗を分けた。
やがて、戦争が終わると、魔女達はどこかへ消えていった。
というよりも、人々は魔女という存在を覚えてはいたが、自分達の世界を脅かした存在を忘れようとしていた。
仮に魔女を見ても、関わろうとせず、ある時は迫害することもあった。
そして、魔術や龍、戦争の事実自体が、御伽噺のようになっていった。
だが、魔女や龍は実在していたし、その叡智は「魔宝具」という存在として集約されていた。
魔宝具の多くは紛い物であったが……そのうちの幾つかは魔女の叡智が詰まった、世界の情勢さえ変えることが出来る道具であった。
……というのは、割りと世間一般の俗説とも言えるものであった。
魔女というのは普通の女の子と大して変わらず、むしろ、普通の女の子よりも繊細で弱い存在だった。
魔宝具にしても、そんな大層なものではなく、がらくたが大半であったと言える。むしろ、実用的な魔宝具の方が少なかった。
そんながらくたの同然の魔宝具を売って生計を立てている魔女、アニマ・オールドカースル。
そして、それを冷やかしに来る珍しい客が、ジョセフ・タイラーなのであった。




