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金の惑星  作者: グラウス(水無月 恭也)
3/3

第三話

「博士っ。いよいよですよっ」興奮の極みで助手が言う。

「うむっ。ようしっ。近づいてきたぞっ」博士は両手で思わず助手の両肩を握り絞めた。

「痛いっ。痛いっていってるじゃないかっ」振りほどいた助手に向かって、

「いやあ、すまん、すまん。つい興奮してな。」鼻息の荒い博士と助手の頭には、まだハーレムの惑星の妄想が消えていない。


「博士。あの金の小惑星群を持っていかえれば……」

「そうだ。K君。儂は億万長者だ。君も……ちょっとだけ金持ちになれるぞ。」

「いやいやいや。そりゃぁないでしょうが。。ここまで来て。それは。」

「ははは。今はそんなことよりも。」博士は今まで見せた事のないような輝く笑顔で助手の眼を見た。

「そうです。丸ごとかっさらいましょう。」うおっと叫んで、二人はさっそくに小惑星群の捕獲に乗り出す。


「ようし。もう少し。左だ。そうそう。今、逆噴射だ。『微』だぞ……うう……」博士は今、ロケットの外に張り出したロボットアームで金の小惑星を掴もうとしていた。助手はロケットをそろりそろりと近づけた。

「よしっ……これをこうやって……あれ。どうするんだっけ……」上手く操作できない博士を見て、

「替わりますから。博士はロケットの操縦を。」助手が言い出す。

「ううむ……K君はたしかUFOキャッチャーの世界チャンピオンだったな。任せるぞ。」博士はロケットの操縦、助手は金の惑星の捕獲と決まった。



「ふう……随分捕ったなぁ。」助手の捕った小惑星がロケットの貨物室ばかりか、居住スペースにも溢れてしまって、今や操縦席の後ろ側まで圧迫している。

「いやぁ……溜まらんな。これは……」博士は、もはやこの小惑星で一儲けどころか丸儲けしたあとのことを考えて、涎を垂らしている。

「博士。締まりませんなぁ……」そう言う助手もまた、妄想を脳内で暴走させている。


「帰りますか。帰りますか。」助手が急かすと、

「そうだっ。このままでは宝の持ち腐れだっ。儂の……」

「もういいですよ。博士。帰路をセットしたボタンはと……」

 ぐーんとワープが始まり、博士と助手は操縦席とその補助のお世辞にも坐り心地の好いとは言えない椅子にはりつけにされる


「いやぁ……辛いなぁ……辛い……」相変わらず涎を後ろに糸を引きながら博士。

「まったく……まったく。辛い辛いぃ……」同じく虚ろな目で妄想の中を爆走中の助手であった。



 やがて、ロケットは地球の近くへと辿り着いた。

「……っと。やっとワープが終わった。しかし、博士。帰りはずっとワープでしたよ。行きもそれでよかったんじゃないですか。」長すぎるワープ中、ずっとトイレを我慢していた助手が、トイレのドアを開けながら言う。

「ははは。K君。ロマンだよ。ロマン。千秋一日。待つ身の甘さ。だよ。わからんかなぁ。」かかかと笑って、博士。

「さて、地球に帰星するか。」博士は、地球の周りで帰星する宇宙船を検査する『帰星ステーション』にドッキングする。


 がつん。結構な衝撃でドッキングしたはずみで、

「うおっと。おしっここぼれた。」助手はトイレで騒いでいる。

 操縦席の外部通信スピーカーから、型通りのアナウンスが聞こえてくる。

「未知の菌、未知の物質、未知の生物などをお持ち込みの際は、宇宙検疫局の権限により……」

「これ、長いんですよね……ちゃっちゃとやれよなぁ。」トイレから出て来て、洗った手を振りながら助手が言う。

「こら。自動乾燥器で手を乾かさないか……やめろっ」助手は大げさに手を振り回し、博士にその飛沫がかかる。


「へへへっ。どけどけい。大富豪様のお通りだそう。」助手は調子に乗っている。

「ふふん。K君が大富豪なら儂は……」言いかけた博士は、異変に気付いた。

「やけに長いな……なんだ……」

「へいへいへいっ」

 不審がる博士に目もくれず、助手は浮かれ続けている。

 その時、操作パネルの警告ランプが点滅した。赤、白、赤、白、赤……」


 そして、検疫局から警告のアナウンスが告げられる。

「……認識番号G102933747393084748のロケットの乗組員に告ぐ。即刻そのロケットを降りて、帰省ステーションの殺菌処理を受けなさい……」

「え……何を言ってるんだ。」博士と助手には何が何だか分からない。アナウンスは続く。

「……そのロケットには、未知の菌が付着しています……そのロケットには未知の……」繰り反されるアナウンス。

「……直ちに離船しなさい……直ちに離船しなさい……」


「嫌だよ。嫌だ。この星は俺のんだいっ」

「そうだっ。渡すもんか。」博士と助手が抵抗するが、

「……警告に従わない場合は、乗組員もろともその船を『消滅レーザー処理』します……」

「嫌だよぉ……死にたくないよぉ……博士ぇ……」すがるように見る助手の視線を外して、

「はぁ……金の惑星は菌の惑星でもあったか……」博士。

 そうして、二人はすごすごと帰省ステーションに渡って行った。


 

「なんでこんなことに……俺のハーレムちゃん……」

「まさか……儂の若返り……性春の輝き……」

 その時の二人は帰星ステーションの窓から、あと49分と05秒後に消滅する金の惑星であり未知の菌の惑星がたっぷりと詰まったロケットを、ただ茫然と指をくわえて眺めることしか出来なかった――

やっと終わった……博士と助手の暴走はこれで終わりそうにありません。続編の予感。いや悪寒カモ……

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