保健室の泣き虫
あれ?
誠は目が覚めるとベッドの上でよこたはっていた。頭が痛い。身体もあちこち痛いが何があったのか覚えていない。
「あら?聖君気がついたみたいね」
彼女は養護教諭の紅葉先生。
みんなからは紅葉ちゃんと呼ばれるている。
紅葉ちゃん本人も嬉しいらしく皆そう呼んでいる。
年はまだ20代で、容姿端麗でとっっても優しい。生徒から相談を受けることが多く人気が高い。
「今何時ですか?」
「14時をまわったところよ。起きて第一声がそれとは随分しけてるんじゃないの?」
「うるさいなー。時間が気になっただけですよ。ところで何で俺はここに?」
保健室にくるようなことはしてないと思い不思議に思っていた。美人な先生と話せることは嬉しいがわざわざ来るほど飢えてはいない。何よりあちこち痛いからそれどころじゃない。
「聖君何も覚えてないの?!貴方落ちたのよ?3階の教室からすとーーんっと」
えっーー。落ちた?俺が?3階から⁉︎
何がなんだがわからない誠はほうけていた。
「何も覚えてないみたいね。ほんとその程度ですんでよかったわ」
とても心配したみたいで少し目が潤んでいる。こんな生徒思いの先生に心配されて幸せだなの感じたがそれはまあいい。
「紅葉ちゃん、何で俺落ちたの?」
「それも覚えてないの?!記憶喪失にでもなっちゃった⁉︎どうしよう〜…」
「紅葉ちゃんが慌ててどうするんですか…」
この先生心配だ。処置も完璧だし美人で非の打ち所がないのだが、生徒のこととなるとパニックになる事が多く生徒から心配されることが度々…。
「紅葉ちゃん!俺は大丈夫ですから!ね?」
「うん…。
大丈夫そうね、よかった…。」
ふーっと息を吐く紅葉ちゃん。こっちが一安心だと誠は内心思っていた。
「それで、なんで俺は落ちたの?」
「そうそう!なんでも、香ちゃんのリボンが風で飛ばされたみたいで、それを取ろうとして飛び出していったみたいよ。ほんと香ちゃんのこととなると周り見失うだから」
本名を渚香、俺と同じ高校2年で幼稚園からのお笹な馴染みだ。両親も仲が良く今でも夕飯を食べに行ったりするほどの仲だ。
「あはは…
なるほど、香のリボンをね〜。」
ポケットに手を入れてみると確かにあった。
香のお気に入りの薄ピンク色のリボンが。
「ほんと、気をつけなさいよ?いくら香ちゃんのためとはいえーーーー」
ガタンっっ!
言ってる最中に凄い勢いで何が入ってきた。
一瞬でそれは誠の前にゆき号泣していた。
「まことーーーーバカ!バカ!死んじゃったと思ったじゃない!気をつけてよ!」
泣きながら香は怒ってくる。
「ごめんな、香の大事なリボンだからさ、ほらっ!」
誠へポケットからリボンを取りだすと香に渡してあげた。
「ありがとう…これ本当に大事だから。
ほんとありがとう」
泣き止まない香の頭を撫でていると次第に泣き止み落ち着いたみたいだった。
「おほんっ。2人の世界のとこ悪いんだけどイチャイチャするならもう大丈夫ね?先生ほったらかして……」
「あっ…」
誠と香の声が重なりまずいと思った。
また、紅葉ちゃんが泣き出してしまった。
その後泣き止むまで2人で放課後まで付き添っていた…。