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第 8話 能山沙羅≠目取真沙羅≠蔵田沙羅

 わたしは惰性に身を任せて生きてきた。

能山沙羅よしやまさら。ハルキと同じ27歳。ハルキと同じ会社で働いていた。

そして、今はこの南の島で一つ屋根の下で暮らし、『パーラーはるら』を経営している。

経営は概ね順調。いや、順風満帆と言って良い。

ハルキとは恋人関係にある。

彼は、疎ましく遠ざけたり、道具の様に扱う事無く、わたしを愛してくれる。プロポーズや指輪をもらったりはしていないけれど、わたしはハルキの妻になる。

これは、わたしの中で決定事項だ。

でも、今彼は忙しい。

近い将来、日本人の大半が死に絶えるほどの大災害が起こるらしい。

その言葉を、わたしは疑ったりはしない。彼の言う事は真実だ。

ハルキを知るわたしは、確信を持ってそう断言できる。

彼は、わたしを救ってくれた人だから。


 わたしが生まれた時、わたしの家は既に裕福だった。

昔から代々続く名家だった訳では無い。

親が大企業を経営している訳でもない。

むしろ、わたしの両親は働いてすらいなかった。

それなのに、それほど大きくはないが一戸建てのマイホームを持っていたし、年に何度も海外旅行に出掛けたりもした。

何故、働いてもいない能山家に、そんな事が可能だったのか。

簡単な事だ。彼らは『軍用地』を持っていたのだ。


 太平洋戦争に敗北した後、唯一地上戦が展開されたこの南の島は、長くアメリカの占領下に置かれる事になった。

その際に、小さな島のあちこちに、大規模な軍事施設が建設されていった。

東西の冷戦が激化していく中、米ソ2大国をちょうど分断する位置にあるここは、立地上重要な拠点に成り得る地であった。


 『銃剣とブルドーザー』。この島ではあまりに有名な言葉である。

島の制圧を完了させた米軍は、各地の軍事基地建設に乗り出す。

その際に、家屋や畑を破壊し、邪魔な住民を強引に外に追いやった。

そうやって建てられた基地は、今も尚、この島に存在し続けている。


 やがて復興が進み、経済大国として躍進を遂げる日本。

忘れられつつあった南の島も、ついに返還される事になった。

近代民主主義国家に生まれ変わった日本。

そんな国で、いつまでも土地の接収を継続していては、いささか体裁が悪い。

かと言って、アメリカに土地の返還を迫れるほど、日本の立場は強くない。

そこで日本政府は、『借地料』という名目で、地主達にお金を支払う事にした。


 この地には毎年莫大な振興予算が計上されている。

にも関わらず、脆弱な経済・低所得・就職難にあえいでいる。

この現状を最も象徴しているものの1つが、この『借地料』と言えるだろう。

つまり、国から予算が下りても、一部の条件を満たした者のみを潤すに留まってしまっているという事だ。


 わたしの生まれた能山家は、条件を満たした側の人間だった。

お父さんは、働かなくても毎年千数百万円のお金が入ってくると言っていた。

事実、わたしの家はこの島には無かった。

それだけの安定した収入があるのだから、無理にこの島に住む事は無い。

基地を離発着する戦闘機の騒音も、米兵が絡む事件・事故とも全く無縁の、信州とも呼ばれる地域の郊外にわたしの家はあった。

両親は暑くない所を選んだのだそうだ。

確かにここは暑くはなかったが、冬は冷え込みが厳しく、豪雪地帯でもある。

物好きな事だ。


 能山家での生活は、わたしにとって文字通り『楽園』だった。

年に数度の海外旅行。両親の良好な夫婦仲。何より、いつもわたしの側にいてくれた。

欲しいものは何でも買ってもらえたし、どこにだって連れて行ってくれた。

わたしは、確かに幸せだった。


 そんなある日、『楽園』は突然取り上げられる事になる。

両親が事故に巻き込まれたのだ。

その日、インフルエンザで熱を出し、寝込んでいたわたしは1人でお留守番。

ドラマとかでよくあるパターンだった。

わたしは、天涯孤独の身となってしまった。

まだ、小学校にも上がっていなかったというのに。

警察だと名乗る知らない大人がやって来て、わたしに両親の死を告げた。

親族だと名乗る知らない大人がやって来て、わたしを飛行機に乗せた。

そうして、わたしは生まれて初めて故郷に帰ってきた。


 そこでは会議みたいな事をやっていたと思う。

わたしをどこの家が引き取るかで揉めていたらしい。

それから、いろんなお家で暮らす事になったが、わたしはどこにも馴染めなかった。

わがままで、贅沢で、金銭感覚もまるでズレているわたしは、普通の家では暮らしていけなかったのだ。

巡り巡って、わたしを引き取る事に一番消極的だったお家に行く事になった。

そこで、あの人達に出会った。出会ってしまった。


 お父さんには、たった1人だけ妹がいた。

彼女は別の家に嫁いでいて、能山ではなく、目取真めどるまという姓を名乗っていた。

険悪な仲だったのか、お父さんが妹の話をする事はほとんど無かった。

そこは3人家族だった。

義父、義母、2つ年上の義兄。それにわたしという『異物』を加えて、4人での生活が始まった。


 案の定、そこでの生活にも、わたしはうまく馴染めなかった。

名前を書く時は、相変わらず「よしやま」と書いていたし、夫婦の事も「おじさん」「おばさん」と呼んでいたし、義兄の事を「おにいちゃん」と呼ぶ事はついに無かった。


 目取真家は、『歪み』を持っていた。

義父は酒とギャンブルが大好きで、気に入らない事があると家族に対して暴力を振るう。典型的なダメ親父だった。

あちこちから借金を抱えていた様だし、義母も義兄も、義父にはひどく怯えていた。


 どうやらお父さんは、『軍用地』の事を親族の誰にも秘密にしていたらしい。

金のなる木を独占したかったのか。能山家では、長男だけに密かに相続され続けてきたみたいだ。

それを、義父はまんまと探り当てた。以前から、あたりをつけていたらしい。

お父さんと同じ様に『軍用地』の存在を親族から秘匿し、わたしが来るのを待っていた。

目取真家は、何度と無く能山家に金の工面をしてもらっていた事を、後になって知った。


 『軍用地』を手に入れてから、目取真家の財政は一変した。

すぐに南の島から飛び出し、能山家と同じ様に優雅な生活を営みだした。

だが、裕福になっても、義父の暴力は度々目取真家を悩ませた。

そして、今でもたまに夢に見る、あの日を迎える事になる。


 わたしがこの家に来て、4年程が経った頃だろうか。わたしは、小学校5年生になっていた。

あの日、学校から帰ってくると、義父が昼間から酒を飲んでいた。

ギャンブルに負けたのだろう。たとえ負けたとしても、お金は勝手に増えていくのに、彼にとってそれは関係無いらしい。

とにかく、義父は不機嫌だった。

こんな時は、下手に関わらない方が良い事は、今までの経験からわかっていた。

そっと側を通り抜け、自分の部屋に逃げ込む。

それを、義父は目ざとく見つけ、わたしの部屋に無理やり押し入った。

頬を張られ、ベッドに無造作に放り投げられる。

涙を浮かべ、義父を見上げると、彼の目の色が変わった。

目の奥に獣じみた情欲を浮かべ、わたしの服を引きちぎった。

泣き叫び、苦痛に顔を歪め、義父が満足するまで時が過ぎ去るのを待つ事だけが、わたしに許された。

外出から帰った義母は、すぐに異変に気付いていた。

すすり泣く着衣の乱れたわたし。熟睡する義父。

2人が同じ部屋に居たのだ。当たり前だろう。

だが、義母は気付かないフリをした。

わたしにとっての『地獄』が幕を開けた。


 それまでが嘘の様に、義父の家庭内暴力はなりを潜めた。

目取真家に平穏が訪れたのだ。

しかし、事ある毎に、義父はわたしを蹂躙する様になった。

ギャンブルに負けた腹いせに。酒に酔った勢いに任せて。時にはほんの気まぐれに。

義母は気付かないフリを続けた。


 中学校に上がる頃、わたしは妊娠した。

その時の、夫婦のわたしを見るあの目は、今も忘れる事が出来ない。

勝手にさかって孕んできた、飼い猫を見る様な目だった。

一体どういう説明をしたのか。

医者に不用意な性交渉を叱責された後、わたしは人口妊娠中絶手術を受けさせられた。

麻酔をかけられていたはずだが、わたしの体に入ってきた器具が、異様に冷たかったのを覚えている。

器具が動く度に胎児が切り刻まれていく事を実感し、涙が流れた。

ごめんね……。ママになれなくて、ごめんね……


 狂乱の宴に、義兄が加わる様になった。

義父に『女を教えてやる』とそそのかされたらしい。

色を覚えたばかりの義兄は、躊躇うどころか積極的に参加した。

その頃になると、わたしも自分を守るための手段を確立していた。

宴が始まると、自分を心の奥底に避難させ、体の感覚を遮断する。

あくまでも気休めに過ぎないが、こうしないとわたしは壊れてしまう。

そんなわたしは、彼らにとって優秀な玩具では無かった様だ。

わたしから反応を引き出すため、彼らはあらゆる試行錯誤に腐心した。

タバコの火を押し付けられたり、鞭でぶたれたり。

時には、刃物で切り付けられたりもした。

義母はそれでも気付かないフリをし続けた。


 3度目の中絶手術の後、医者に言われた。

「もう、子どもを授かる事は無いでしょう」

義父と義兄は大喜びだった。これで好き放題出来ると言っていた。


 『楽園』を唐突に奪われた様に、『地獄』もまた、突然終わりを迎える。

飛行機事故だった。わたし以外のメンバーが、海外旅行から帰る途中、墜落して海の藻屑となったらしい。

この時も、わたしは体調を崩して1人留守番をしていた。

自動車事故と飛行機事故。

わたしに転機をもたらすのはいつだって事故だ。乾いた笑いが込み上げてきた。


 高校を卒業する直前だったわたしに、『軍用地』が転がり込んできた。

義父は『軍用地』を相続したわたしの後見人という立場を取っていたらしい。

おかげで、わたしが路頭に迷う事は無かった。無事大学を出る事も出来たし、職を得る事も出来た。

行きたい大学があった訳では無い。周りが進学するからそれに倣っただけだ。

なりたい職業があった訳でも無い。周りが就職活動をするからそれに倣っただけだ。

『楽園』も『地獄』も取り上げられたわたしには、もはや人の真似をして惰性に生きる事しか出来なかった。


 ハルキと出会った日の事は、今でも鮮明に覚えている。

当時、義父による性暴力が既に習慣化していた。

心を閉ざしたわたしは、クラスに馴染めないでいた。

クラスメートの輪に加わろうともせず、話しかけられても何も答えない。

そういう子は、イジメの標的になりやすい。

でも、それはちっとも苦にならなかった。

学校に居る間だけは、義父に怯えなくて済む。彼に比べれば、子どものイジメなんて可愛いものとさえ感じていたから。


 焼却炉に放り込まれた時、このまま死んでも良いかなと本気で思った。

あの子達にわたしを殺す気が無い事は始めからわかっていたので、落胆していたのは本当の話だ。

だけど、わたしを助けに来たハルキは真剣そのものだった。

本当にわたしの事だけを心配している様だった。


 掌に釘が刺さっていた。痛そうだった。

わたしだって、義父にあんな事をされたら泣き叫ぶだろう。

それなのに、ハルキは、たくさん血が出る掌を押さえようともせず、わたしにこう言ったのだ。

「無事でいてくれて、ありがとう」

涙を止める事が出来なかった。冷たくなったわたしの中から、暖かいものが次から次へと溢れてきた。

わたしは、彼の事を好きになっていた。

名前も知らない、目の前の男の子を。


 成長していくにつれて、子どもだって知識を得る。知らなくても良い事まで。

中学に上がる前には、わたしは義父との関係が異常なものである事をわかっていた。

それが『汚らわしい』ものである事も。

だからわたしは、自分の気持ちを封じ込める事にした。

報われて良い想いだとは思えなかったから。


 ハルキとは中学までは一緒だった。

気が付けば、いつも彼を見ていた。話し掛ける事は一度も無かったけれど、目で追う内に少しずつ彼の事を知っていった。

卒業して彼を見失った後、心にぽっかりと穴が開いてしまった様だった。


 しばらく人生の消化を続けていたら、ハルキと再会した。

同じ会社に入社していたのだ。わたしはひどく動揺した。


 彼はわたしの事を覚えていない様だったし、わたしも知らないフリを続ける事にした。

でも、彼は当時と何も変わっていなかった。

困った時に左手で頭をかく仕草も、嘘を吐く時に目が泳ぐ癖も、変わっていなかった。

心のフタに、氷に、少しずつ亀裂が入っていく。

いけない事だと自分を戒めつつも、気が付けば彼と関わりを持とうとする自分がいる。

鏡では見たことの無い笑顔が自然に現れた。他人には絶対にしない様な自慢話までしてしまった。


 「わたしと、付き合ってみませんか?」

言った。言ってはいけない事を、ついに言ってしまった。

心の壁を突き抜けて、その一言が出てきてしまった。


 途端に顔を曇らせるハルキ。

わたしの心に、みるみる内に深く暗い絶望が溜まっていく。

彼は、わたしの過去を、『穢れ』を知っているのではないか。

そんな有り得ない事までが、思考を覆っていく。

言わなければ良かった。本心からそう思った。


 ハルキが返事の保留を申し出た。

わたしは既に上の空だった。

それでも、今までの惰性の経験の賜物か、平常通り仕事をこなしていく。

わたしはやはり、このまま惰性に身を任せて生きていくのだろうか。

ふと、視線に気付く。ハルキのものだった。

拒絶されたはずなのに。

でも、彼のこの眼差しには、見覚えがあった。

子どもの頃、わたしを助けてくれたヒーローの眼差しだった。


 心の中は、ほんのちょっぴりの期待と、ほとんどを埋め尽くす絶望がごちゃ混ぜになっている。

それからレストランまでの道のりは、あまりよく覚えていない。

やけにゆっくり歩くハルキだったけれど、小学校の時と全く変わらない、彼の背中だけを見ていた気がする。


 レストランの中に、トラックが突然突っ込んできた。『事故』だ。

わたしの人生にいつもつきまとう、『事故』。

『楽園』を取り上げ、『地獄』に終わりをもたらした『事故』。

今回はわたしの人生に終わりをもたらすのだろうか。


 ふと気が付くと、わたしはハルキの腕の中に居た。抱きしめられていた。

『事故』は、目の前の愛しい人によって、追い払われていた。

そして、あの時と、一言一句変わらない、彼の言葉。

「無事でいてくれて、ありがとう」

彼の事が好きだったわたしは、彼の事を愛していた。


 ハルキはわたしの想いに応えてくれた。

でも、わたしはいつも怯えていた。

いつか、彼に拒絶される日が来るかも知れない事に。

わたしの精神と体には、拭い去る事の出来ない『穢れ』がある。

今更ながら、わたしは迷っていた。

このまま、彼と一緒に居ても良いのだろうか。


 ハルキと初めて結ばれた夜。部屋のカーテンは全て閉め切り、星の明かりすら封じ込めた。

絶対に見られたくなかった。わたしの傷跡。わたしの『穢れ』。

彼はとても優しくて、それはもう幸せな時間だった。

トラウマが邪魔をするかもと心配になったが、どうやらわたしの神経はわたしが思っている以上に図太かったらしい。

いや、問題にならないくらい彼を欲していたのか。


 だから、わたしは油断してしまった。

その夜は、久しぶりに悪夢を見なかったから。

心身ともに、穏やかな眠りに落ちてしまったから。

わたしは、寝坊してしまった。つないだハルキの手が、あまりにも暖かかったから。


 先に目を覚ました彼は、わたしの体を見てしまった。わたしの全てを。

目が覚めて、慌ててシーツに身を隠したが、手遅れだった。

ハルキが戸惑いの視線を向ける。


 見る見る内に涙が零れ、頬を伝い落ちる。

幸せが、終わってしまった。全て夢だったのだろうか。

自分の不注意のせいで、きっと彼は離れていく。

こんな『穢れ』を持った女は、彼は嫌がるに違いない。

泣かずにはいられなかった。


 けれど、ハルキは落ち着いていた。握ったわたしの手を離さない。

わたしが泣き止むのを、じっと待っている。

さっきから壊れた人形の様に「ごめんなさい」以外の言葉を紡ぎ出せないわたしを、じっと見つめている。


 だから、わたしは話す事にした。わたしの全てを。

知られた上で、彼がわたしのもとを去るのなら、それも仕方が無い。

そう思えたから。

少なくとも、ハルキは真摯に受け止めてくれるだろうと、確信が持てたから。


 どれほどの時間が流れただろうか。

わたしは今までのわたしの人生を全て語り終え、ハルキは黙ってそれを聞いていた。

今は2人とも何も喋らない。静寂が部屋の中を支配している。

審判をじっと待っていると、突然ハルキがわたしを抱きしめた。そのまま、ベッドに押し倒される。

わたしの顔に暖かい雫がポタポタと落ちてきた。

いつの間にか、彼は泣いていた。声も出さず、涙だけが止め処なくわたしの頬に落ちてくる。

「もう、大丈夫だから」

一言、ハルキは言った。


 ハルキがわたしの体に口付ける。無数につけられた、わたしの傷跡に。

義父と義兄の宴の最中。わたしは、心を別の場所に避難させる必要があった。

自分の体に関心を失ったわたしは、冷静に傷をつけられるわたしの体を見ていた。

随分と滑稽な事を思いついたものだ。

わたしは、自分につけられた傷の一つ一つを、順番も含めて全て記憶していた。

炙られた火傷、裂かれた傷、切られた切創。それらの全てを。

ハルキは、その一つ一つにキスをしていく。

たくさんあったから時間がかかったけれど、一つも逃す事無く、全ての傷跡に彼の口付けが舞い降りた。

全部覚えているわたしが言うのだから、間違いは無い。

その後に言ってくれたハルキの言葉を、わたしは一生忘れない。

「生きていてくれて、ありがとう」

彼の事を愛していたわたしは、彼無しでは生きていけなくなった。


 ハルキを助け、彼を守っていく事はわたしの人生における至上命題となった。

能山家が遺してくれた『軍用地』は、おおいに役立ってくれた。

億に届きそうな額のわたしの現金は、2人の逃避行の資金源となった。

ハルキは、自分を甲斐性無しと恥じていたけれど。

そんな事は、どうだって良いのに。

見栄っ張りな一面に、思わず微笑ましくなった。

その末に、この島に行き着いたのは皮肉としか言いようが無い。


 拠点を構え、いよいよ本格的に大災害も動き出した。

これから、いろいろな事がわたし達の身に降りかかるだろう。

でも、わたしは、ハルキを守る。どんな事態に陥っても。

どんな罪を被り、どんな罰を受ける事になっても。

シャワーを頭から浴びながら、わたしは改めて決意した。

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