2-(2)
「ぁんだと??もう1回言ってみろ」
俺に近づいてくるその影。正直殴られるかと思った。
「だから!!!野球やめたのはお前のせいだ!!!」
俺は最後にもう1回彼方兄ちゃんにむかって怒鳴った。
彼方兄ちゃんは俺のグローブとボールをうばいその場にしゃがみ
こんだ。そして向こう側に立っている陽輔兄ちゃんに向かって
ボールを投げた。
ぱしっぱしっしばらく無言で2人はボールを投げ続けた。
「なぁ、陽輔…。」
「…何?」
「俺さ何でお前がいたチームを辞めたんだと思う?」
彼方兄ちゃんは静かにそう言った。
「わからない。」
「俺さ同学年で同じ年に野球チームに入ったのに俺よりもどんどん
うまくなっていく陽輔に嫉妬してたんだ。俺誰よりも誰よりも
努力してたつもりなのにどんどん陽輔に置いていかれて…それで陽輔がいる
あのチームを抜けて他のチームに入ったんだ。監督には陽輔がいる限り
このチームで野球はやらねーとか言って。」
「うん…。」
「それで久しぶりにあの時の試合でお前に会った時、俺、悔しくて仕方なかった。
アップのときのお前の投げ方みて、すごいと思った。それで2年のくせして高学年差し置いて
試合でマウンド出てまじで悔しかった。んで俺ん所の監督があいても2年だからお前がいってこい。って言って試合に出して貰ったんだ。でもそんな理由で試合に出るなんて格好悪いじゃん?」
「いや、そんなことねーよ…」
「でも俺は格好悪いと思った。陽輔は自分のチームがピンチん時に出してもらえるのに
何で俺はそういうときには出して貰えないんだって。正直一人で勝手にキレてた。
だからお前との勝負の時、お前を挑発した。悔しくてしょうがなかったから。
本当は、あの球よけることは出来たんだ。でもどうせお前からヒット打てる何て思ってなかった
から格好悪いけどデットボールでランナー出そうとか思ったんだ。そしたら運悪く溝入って…倒れた。でも俺、陽輔の事恨んだりしてなかった。」
「…。」
「それから家に帰ってゆっくり休んで考えたんだ。まだ2年だからポジションを変えるチャンスは
ある…だから中学生になったら陽輔と同じチームでバッテリー組みたいって。だから俺はその日から
キャッチャーになるためにがんばった。必死こいて。なのにしばらく立ってお前のチームに行って
お前に会ってガッガリした。マネジャー何かしてて…お前の野球に対する気持ちはそんなんだったのかってまじでムカついた。うまけりゃ何してもいいって思ってるのかと思うとまじで殴りたくなった。」
「あぁ…。」
「けどしばらく立って噂で俺にデットボール当てたせいで投げられなくなって野球をやめた
って聞いてびっくりした。だから、ごめん、俺のせいだ、あれよけれたんだって…
言いに行く為にお前ん所まで走った。けどお前は不良と絡んで金髪にしてピアスだしもう遅い
駄目だ…と思った。謝っても、おせぇとか言われるんじゃないかってずっと思ってた。どうやったって野球はじめてくれないよなってずっと考えてた。だからお前のこと挑発するぐらいしか
出来なかったんだ。」