3-(1) プレイボール
翌日昨日あった出来事を姉ちゃんに話した。
「ぇ?彼方と陽輔が?」
姉ちゃんはしばらく驚きを隠せない様子をみせたが
しばらくすると笑顔で喜んでくれた。
「それで…陽輔兄ちゃんと彼方兄ちゃん…今日来る…。」
俺がおそるおそる姉ちゃんに問いかけると意外にも姉ちゃんは
簡単にOKをくれた。
うぃーーーーん。姉ちゃんの部屋と俺の部屋を交代しながら掃除機で
かけたり散らかった物を片付けたりした。
陽輔と彼方が久々にうちに来るからといって姉ちゃんは
張り切っていた。
お昼をすぎ太陽が真上をとりこしたときピンポーンと部屋中を鳴り響く
インターホン。俺がすばやく玄関の扉を開いた。
「よぉ!!」
陽輔兄ちゃんはケーキの箱を俺の前でぶら下げている。彼方兄ちゃんは
ただ笑っているだけ。
「これ冷蔵庫にいれといてくんね?金ねぇから一緒に食べるまでの
ケーキ用意できなかったから雄介と優子とお母さんとお父さんで食べて。」
陽輔兄ちゃんは笑っていた。
しばらく玄関で話していると二階からドタドタと足音が聞こえてきた。
「あー陽輔!彼方!あんたも来てるならきてるって言ってよね。」
姉ちゃんは俺の頭を思いっきり叩いた。
「いってぇー。」
「んま、あがって!!!」
姉ちゃんは陽輔兄ちゃんと彼方兄ちゃんにそう言った。
でも2人は苦笑い。
部屋に入って4人はしばらく黙ってポテチを食べ続けた。するといきなり
彼方兄ちゃんはニヤニヤし始めた。
「ぇ??おい?彼方?」
陽輔兄ちゃんがそういうと彼方兄ちゃんは吹き出した。
「なんなんだこのしらけさ。糞うけんだけど。」
そういうと彼方兄ちゃんは一人で笑い始めた。姉ちゃんは彼方兄ちゃんを
見ながら唖然としている。
「か…彼方っておとなしい子じゃなかったっけ。」
「ぁん?それは小さいときの話。俺も変わったんだよ。」
そういうとゲラゲラ笑い始めた。
「あっそ…てか今日陽輔と彼方は何で家に来たの?」
姉ちゃんの問いかけにすばやく反応したのは陽輔兄ちゃん。
「ぁ…あぁ、俺等野球チーム入ることになってさ、、雄介も一緒の所にいれたくて
その相談。」
するとポテチを頬張りながら彼方兄ちゃんがしゃべりだした。
「そそ…条件は小中一緒でいい監督でまぁまぁ強いチーム。んでもって俺等3人は仲良しになるっていう条件。」
「「「あ???」」」
俺と陽輔兄ちゃんと姉ちゃんが声をそろえてそういうと彼方兄ちゃんはまだ笑い始めた。
「だってそうだろ?雄介は才能あるし俺等2人の仲裁?っつうの?やってくれたし。
3人は親友ってわけだ。コイツはまだガキだけどな。」
彼方兄ちゃんは俺のあたまを3回叩いた。