10/13
2-(3)
「なぁ…陽輔?」
彼方兄ちゃんは立ち上がりながら陽輔兄ちゃんのグローブ目掛けて
ボールを投げた。
「あ?」
「俺に向かって思いっきりボール投げろよ。」
彼方兄ちゃんはグローブを右手で叩いた。
陽輔兄ちゃんはボールをぎゅっと握り締めそれから彼方兄ちゃんの
グローブ目掛けて投げた。
「ストライク!!!」
彼方兄ちゃんは空目掛けて叫んだ。
「俺と一緒にもう一回野球しようぜ!!!」
彼方兄ちゃんのその大きい声に陽輔兄ちゃんの小さい声が混じった。
「あぁ…しよう。」
すると陽輔兄ちゃんは俺に向かって歩いてきた。
「雄介。お前のおかげで彼方の気持ち知ることができた。」
それを見た彼方も俺の方に来て
「雄介。お前のおかげで俺の気持ち言うことができた。」
と言って俺の頭を軽くたたいた。
俺は2人に飛びっきりの笑顔で
「うん!!!俺もこれから野球一生懸命頑張るからね!!!」
とだけ言った。