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ふたり旅1

突然、思い切り恋愛を書きたくなってしまいました。

出だしはラブコメ風ですが多分シリアスになっていく予定です。

不定期になりそうですが宜しくお願いします。

「今日も日差しがきついですよ?フードはもう少し深くかぶってくださいね。」


「リアン、大丈夫だよ。あんまり深く被ると暑いし…。」


「駄目です!紫外線はお肌の敵です!それに、シエルの為じゃなく、僕の為です。そのかわいいかわいいかわいいかわいい白い肌にシミなんて作ったら許しませんよ!シエルは僕のモノなんですからね!」


「……。お願い、リアン。も、ちょっと声のボリューム下げてくれないかな。は、恥ずかしいよ。あと、いつも言ってるけど私はリアンのモノじゃないし。」


「ほうら、フードを深く被らないから周りの男たちがシエルを視姦するじゃないですか!駄目駄目!マントひらひらさせちゃ!」


「リアン、落ち着いて。そんなこと誰もしないから…。言動がおかしいよ、この暑さのせいだよ!あの店で休もう!ね?」


「や、休む……。じゃあ、その先の宿にしましょう!ハア、ハア。」


「なんで宿に…。」


がっくりと肩を落とす私。ちっとも話がかみ合わないリアンに途方にくれる。

気を抜くと彼のペースに乗せられてしまうのだ。駄目駄目!

どうしてだか私はリアンに懐かれてしまった。なんで?って私が聞きたいよ。

だいたいところかまわず大声で砂吐き散らすので始末がわるい。色が白い以外何のとりえも無いぽっちゃりめの私。一方リアンは渋い銀髪に翡翠色の瞳の超絶美男子なのだ。黙っていればかっこいいのに始終にやけて締りの無い顔が実に惜しい。意味不明なことを言いながらなぜか私についてくるリアン。

ま、こんなでも女の子一人旅だから助かってるんだけど。


私の名はシリル。20歳。

職業は水の巫女…見習い。

ただいま修行中。

ほとんどが砂漠であるこの地に水を呼び寄せるのが私のお仕事だ。

雨乞いや枯れた井戸の復活など、水が貴重なこの国では貴重な存在。

お陰であまり危ない目には遭わない。僧侶と水の巫女は襲うなんて罰当たりもいいところでしょ?

水の加護を受けた私の額にはその印がある。刺青みたいなもので、生まれたときからのものだ。

これがあるのは水の巫女の証でそれを皆「レメの祝福」と呼ぶ。

「レメ」とは水の女神の名前でこの国の信仰神でもある。


「宿で休憩…。」とつぶやくリアンをつれて食堂にいく。なんで息が荒いのか意味わかんない。


「シリルは王都へ帰らないんですか?」


「うん。私はフォンティーナお姉ちゃんみたいに地方を回って困ってる人たちを助けるんだ。王都には十分水の巫女はいるし。」


「シリルは王子には興味ないの?」


「はははは。そうね、確かに水の巫女は王子様たちの奥さんになる資格はあるけど私は興味ない。もともと突然変異組だし。」


水の巫女が一般人と結婚するとその力は無くなってしまう。でも王家の人は特別で逆に力が溢れるらしい。でもねぇ。王家に嫁ぐ水の巫女は元々貴族の人たちだし。それに、なんたって、沢山嫁様がいるからハーレムなんですよね。嫉妬渦巻く後宮の水の巫女の争い……怖い怖い。


「ほら、第5王子なんてまだ独身だよ?いいんじゃない?男前だっていうし。」


「男前?リアンよりも?……男前は見てるだけでいいよ。」


「う。」


時々リアンは第5王子を私に勧める。私のことが好きだとか、かわいいとか、食べちゃいたいとか言うくせに他の男を薦めるなんてリアンの言葉の薄っぺらさが伺える。天性のスケコマシに違いない。きっと私についてくるのも私と居ると宿代が優遇されたりお供えがもらえたりするからだ。そのうちちゃんと諭して真っ当な人間にしなくては。それも修行のひとつに思えるから。


「リアン。これ飲んだら私はサマの村に向うよ?……一緒に行く?」


「も、もちろんですよ!どうしてシリルは僕を避けようとするんでしょう?こんなに愛しているのに!」


がたんとテーブルの端に手を着いてリアンが声を荒げる。


「あの、だから、声のボリュームを…。」


「シリルは知らないんです!シリルのすべてが僕を魅了する媚薬です!僕のハートをわし掴みです。ああ、その愛らしい唇から零れる声も僕の身を震わせるんです!ああ、なんてあなたは罪深い!」


「……。」


店のみんなの視線が私に突き刺さる。「なにあれ、あんな美形が褒めるほどかわいくないじゃない。」そう、みんなの目が言っている。分ってます。私はリアンの話なんて真に受けてません…って堂々と言えたらどんなにいいか。リアンのばか!


テーブルに代金を残してそそくさと店を出ることになったのはこれで何回目かわからない。リアンに言い返したところで、「お高く留まってる」と見られるだけだ。なんて無駄に美形なんだ!


「まって、シリル!お金は僕が!」


「どうやってお金を工面しているのか知りませんが、そんなお金で奢って欲しくありません!」


四六時中引っ付いてくるのにどこから湧いてくるやらどうやらリアンはお金を持っているらしい。私と離れている間というと私が祈祷している時くらい。その間にってどう考えてもまともなお金じゃないでしょう?


「や、やましいお金では……。」


と、その後は決まって言葉を濁すリアン。怪し過ぎるでしょ!?


「あ、外に出るときはフードを深く!」


多くの視線が突き刺さりながらリアンを振り切って歩く。後ろからリアンが「待って僕の女神」とか「僕以外は惑わせないで」とか言ってるけど、無視だ無視!言われなくっても恥ずかしすぎてフードを深く被ってるよ!



……だけど



だけど、いつまで二人で旅ができるんだろう。



深く被ったフードの下にはリアンに追いかけられてうれしそうになってる自分の顔があるに違いない。


ああ、水の女神レメ様……


もう少し、もう少しの間だけリアンと一緒にいる事をお許しください。


この想いは一生秘めて生きますから……。




ずっと保存してたんですが……え~い。出してしまえと。

すいません。

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