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第4話 何度目かの衝突

「気をつけろよ、そいつすぐ逃げるから」


 タリオスは、その場を離れた。


「勇者様どうします……か……?」


 パリスが気づいた時には勇者は居なかった。


 勇者は、その場から逃げ出した。


〜〜〜


 森を駆ける二つの影、互いの信念がそこにはある。


「勇者様!!」

「どうして…逃げるんですか!!2日前に救っていた村じゃ無いですか!」


 勇者は、一瞬振り返る。


「君も一緒だな…」


 その時勇者は、大木を利用し瞬間的に姿を消した。


「その姿……どうかなされましたか!」


 勇者は、血だらけになっていた。


 それでも勇者は、走るのをやめない。


「なっ………」


 勇者がいた大木の裏側には鮮血の血がこびりつき、赤く光を照らしていた。


「あれは…勇者様が偵察時に使っていた」

「【スピリットウォーカー】」

「霊体になって逃げてしまう前に!!」


「………気にしなくていい」


 勇者は突然、急停止する。


「ゆ、勇者様、少し落ち着きましょう…」


 勇者は、後ろを振り向かない。


「一度…共に戻りましょう」

「シリア様ほど、使い熟せませんが転移魔法に 1日かければ、王都に戻れます」


 パリスは、汗を拭いながら話す。


「戻って、また魔王城に向かうのか」


「………」


「私の完成度だと、一度訪れた、転移の紋章が描かれている場所しか行けません……」

「でも、十日あれば魔王城にたどり着ける開始地点を作れます」


 勇者はパリスを見つめる。


「魔王城の近くに紋章を描いた場合どうなるか忘れたのか」


「………」


「知性に秀でた魔物に利用される可能性がある」

「魔法は良くも悪くも、平等だ」

「誰が何の目的で使おうとも、等しく同じ現象を引き起こす奇跡の力だ」


「………」


「そんな事……そんな事、分かってます」


「それじゃ、駄目だ」


「勇者様に……」

「勇者に………」

「言われたくない!あんたなんかに!!!」

「あんたは!!私達が魔王と戦っているとき何をしていた!?」


 溜めていたいたモノが全て出る。


「元々、魔王を倒していればそんな事を起こらないはずだった!」

「あんたが逃げたから!!あんたが悪いんだ」

「なんか言ったらどうだ!目も合わせれない癖して!」


 勇者は、決して後ろを振り向かない。


「紋章も、紋章のことも!!」

「否定ばかり!少しは考えたらどうですか!」


 勇者は、後ろを向かない。


「随分【必死】だな」


 パリスがやけに敏感に反応する。


「必死?……この私が?」


「ああ…そうだ、必死だ」


「お前は昔からこの言葉が嫌いだったな…」


「なぁ…パリス」


 首筋に氷魔法が掠れる。


「黙れ…私は……私は賢者だ!!」

「賢者は!!冷静沈黙で!」


「あんたみたいな勇気の無い【勇者】なんかに感情を出さない!」


 無数の氷魔法が、氷柱が襲いかかってくる。


 勇者は、背中を向けながら全て避ける。


 いや…勇者は、その場を動いていない、パリスが全て外している。


 パリスは、その場に泣き崩れた。


「やっぱり……優しいな、パリス」


 勇者は、その場を静かに離れた。


〜〜〜


 皆、これまでの肉体的精神的疲労が溜まり募っている。


 もう、勇者パーティーは崩壊間近だ。


 暗く不気味な、長く苦しい滅紫の森を抜け、勇者は行き着く。


 古代神殿【サンクチュアリ】に。

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