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白兎の手帳、二つの瞳

 白兎の手帳は、最後の頁で止まっていた。

 文字は滲み、ところどころ掠れている。


「次の俺へ。

 もし迷ったら、その子を逃がせ」


 それだけだった。

 署名も、理由もない。


 白兎はそれを読んで、

 ――自分の字だと、なぜか分からなかった。




 ***




「あら、どうしたの。白兎——こんな夜分遅くに」


「……」


 紫に染められた寝室。大きなベッド。

 レースの奥で、黒い形が見えた。


 横になっているラナの肌を、無言で解している名もない影たち。

 それは、はっきりと不気味だった。


「はぁ……力が抜けるわ」


 うっとりとした声を漏らすラナ。


「相変わらず、趣味が悪いですね」


 白兎は呟く。



「それで、何の用? "また"、私を口説きに来たの?」


 ラナがさらりと言う。


「そうかもしれませんね」


「あら……」



 白兎の指が、その細い肩に、そっと触れた。



「貴方も、命知らずね」


「そうですか?」



 ラナは、氷の様な瞳で、目の前の男を眺めていた。


 全てを見透かすように。



 白兎の瞳。


 その奥は、さらに、冷たく澄んでいた。

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